老後の生活費は最低限どれぐらい?その内訳と豊かな老後を送る方法を解説
人生の中で、大きな費用が必要になるタイミングはいくつかあります。
結婚費用であったり、住宅の購入だったり、もっともかかるのは子どもの養育&教育費用でしょうか。
そして、人生最後のタイミングで必要になるのが「老後資金」です。
現在受給できる国民年金や厚生年金の金額は右肩下がりで減少しており、現役世代がリタイアする頃には、年金だけでは生きていけないことは明らかです。
夫婦共働きの世帯であれば、通常の家庭よりは世帯年収が多いでしょうが、収入が大きい分、消費に回る金額も大きくなるのが一般的です。
老後になってから困らないように、老後に向けて今から十分な準備をしておきましょう。
(最終更新日:2022年5月17日)
老後の生活費用の概算は?
老後資金を貯めるためには、まずは目標金額を設定する必要があります。
しかし、老後のイメージや理想は人によって異なるもの。どのような老後を過ごしたいかによって当然かかる費用も変わってきます。
一般的に年に一回くらいは海外旅行に出かけるような「ゆとりある生活」が良いのか、「必要最低限の生活」でいざとなれば働いて補うのか、夫婦で相談しておくと良いでしょう
試算としては以下のような金額がかかると言われています。
年金と貯金だけでこの生活費を満たせれば良いのですが、実際はなかなか難しいです。そのときは、発想の転換をすると良いでしょう。
つまり、60歳で定年を迎えても65歳まで延長して働いてもいいですし、年金給付開始までアルバイトをしてもいいわけです。
働けるうちは現役を通すと決めている人も多いので、老後になったからといって、いきなり生活の質が落ちることはそれほどないでしょう。
参照:laxic
老後の生活費の内訳
老後の生活費は、現役時代と比べると多少は少なくなります。将来への不安を感じたら、生活費の内訳についても詳しく調べておくと安心できるでしょう。
最低限の生活費は22万円
総務省の家計調査年報によれば、以下のような老後資金に関する結果が出ています。
この図は持ち家がある場合の試算ですが、およそ最低限の資金としては年間22万円ほどが必要になります。
内訳として食費の比率が高くなりますが、外食を減らすなどすれば節約も可能です。
何より、現役世代の頃に比べて子どもへの費用がかからなくなります。現役時代に貯蓄習慣があれば、老後は確実に生活コストが下がるはずです。
娯楽費は増える傾向がある
現役時代と老後を比較すると、老後は時間ができる分何かをしたくなるため、娯楽費などの支出は増える傾向があります。
例えば、夫婦でいままでできなかった海外旅行をするといったことです。
旅行だけでなく、日々の生活の中でも趣味を見つけて楽しむといったこともあるかもしれません。
また、健康でいるためには、人との付き合いも重要ですし、子どもが別に所帯を持っていて孫がいるなら、事あるごとにお祝いをあげたりしたいもの。
意外と収入はなくても出ていく金額が多いといえるかもしれません。
健康維持にかかるコストが上がる
老後は健康リスクと向き合わなければいけません。
どんな人でも老いて動けなくなる時がきます。
健康を維持するために運動をしたり、食事に気を使うこともあるでしょう。
若い頃のように無理はできませんから、食費を削るといった節約もできないことは意識しておくべきです。
健康保険に入っていれば高齢者の医療費負担は1割です(現役世代並に収入があると負担額は3割になります。)。
高額な医療費がかかる手術などもすべて対象に入りますが、費用については先出ししなければならない部分もあるので、医療費についても準備しておく必要があります。
参照:laxic
老後に必要な貯金はどれぐらい?
老後のために必要な費用は、具体的にどれぐらいなのでしょうか?
上述の通り、理想とする老後によってかかる費用は変わってきますが、平均的な家庭については、二人で毎月25万円程度を想定すれば良いでしょう。
老後が65歳からスタートすると仮定して、そこから20年先までの費用を用意すると考えると、25万円×12ヶ月×20年=6,000万円が必要となります。
6,000万円という金額は莫大ですが、公的年金が入るのですべてを用意する必要はありません。企業に勤めており、夫婦共働きであるなら退職金や厚生年金など両方合わせると20万円程度は老後の収入として入ってくる計算になります。
したがって、25万円-20万円で月々の生活費用に対してはおよそ5万円程度不足することになります。つまり、5万円×12ヶ月×20年=1,200万円が事前に用意する金額といえるでしょう(65歳定年で85歳まで生きると仮定して)。
老後以降にも働くという選択肢がありますが、老齢になって不足分の5万円を稼ぎ出せるかどうかは人によります。以上のことから、少なくとも不足分の1,200万円を用意しておくことで、将来への不安を解決するとができます。
自分にとっていくらあれば最低限の生活を支えられるかは、早めに把握しておくのが老後のための貯金への第一歩です。
老後資金を準備する方法
現役時代は、生活するだけで精一杯ということが多く、老後資金を準備するのは難しいと感じるかもしれません。しかし、老後は必ずやってきますので、避けては通れない道です。
確定拠出年金
老後資金を準備する上では、確定拠出年金といった制度を活用するのも一つの手です。
確定拠出年金には企業型と個人型とありますが、個人型確定拠出年金であれば、専業主婦でも利用することができます。企業で勤めている人であれば、企業年金とともに利用できる制度でもあります。
個人型確定拠出年金は、加入者が毎月一定金額を積み立てて運用する任意の年金制度です。一定金額を積み立てて運用すること=掛金を拠出することからこの名称になっています。
資産の運用については、あらかじめ用意された特定の金融商品の中からリスク許容度などを含めて自分で資産配分を行います。
掛金の上限は企業に勤めている第二号保険者であれば上限2万3000円ほどとなっています。掛金は最低5,000円から拠出することができ、停止や再開は手続きをすれば可能です。
つみたてNISA
資産運用として、「投資信託とは?仕組みやメリット・デメリット、基準価額などの基本を解説」でも解説している投資信託などの金融商品を運用する手段もあります。
その際、つみたてNISAといった国の制度を使えば、投資信託の運用について年額上限40万円まで非課税で元本を運用することができます。
つみたてNISAは専用の口座を開き、証券会社が指定する投資信託の中から投資先を選択します。
投資信託は数千本存在しますが、つみたてNISAで購入できる投資信託は国の基準に見合った低コストのものに絞られているため、投資初心者でも安心して利用できるでしょう。
つみたてNISA口座で買い付けた金融商品については、運用益が出ても税金がかからず、その非課税期間も20年間と長期にわたるので、これから老後資金などを準備したいサラリーマン世帯に適した制度です。
参考:「つみたてNISAの7つのデメリットとは?メリットとを現役投資家が解説」」
まとめ
先が見えない昨今、将来への不安を感じる人は増えてきています。特に現役世代は、上の世代に比べて所得が少なく、老後破産といったイメージに恐怖を感じることも少なくありません。
しかし、将来の備えを現役時代から行っていれば、安心できる老後を送ることは十分に可能です。早いうちから、夫婦二人で老後へのイメージを膨らませ、具体的に必要な老後資金を見据えることで、具体的な行動にも移せることでしょう。
資産運用などを選択肢の一つとして、老後への備えをスタートさせれば、日々の生活にも余裕が出てくるのではないでしょうか。