投機的格付けや投資適格格付とは?債券投資で生かせる格付けの基本
債券投資をする時には、利回りの高さもたしかに重要ですが、格付けの高さも重要です。
この記事では、債券選びで重要となる格付けに焦点を当てて解説したいと思います。
(最終更新日:2022年5月16日)
格付けの基礎知識
まずはニュースなどでも頻繁に取り上げられる「格付け」の意味について、理解を深めましょう。
格付けとは
格付けとは、格付機関がその会社や団体の長期的な債務支払い能力(信用力)を評価したものです。
自分で信用力を評価しようと思ったら、財務諸表やニュースなどから投資対象を詳しく分析する必要がありますが、格付けを利用することで、手軽に信用力を確認することができます。
格付けは目安程度に考える
格付けは投資先の信用力を確認する目安となりますが、絶対的な基準になるわけではありません。
同じ債券であっても、格付会社により格付けが違ったり、短期間のうちに格付けが何度も変更されることもあります。
格付けはあくまで投資の目安程度に考えるようにし、債券を購入した後も、定期的に格付けを確認するようにしましょう。
格付機関と格付けの種類
主な格付機関としては、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s)、格付投資情報センター(R&I)などがあります。
例えば、格付投資情報センターの場合には、以下のような順番でランク付けされています。
AAA→AA→A→BBB→BB→B→CCC→CC→D
AAAは債務履行の確実性が最も高く、Dは債務不履行に陥っている状態です。
BBBまでは「投資適格格付け」と呼ばれ、BBより下は「投機的格付け」と呼ばれています。
一般的に、投資適格格付けまでに投資するのがいいと言われています。
格付けと利回りは相反する
債券に投資する際には、格付けと利回りが相反する関係にあるため、注意が必要です。
格付けの高い債券は、利回りが低くても買い手がいるため、利回りは低くなります。
一方、格付けの低い債券は、デフォルト(債務不履行)する可能性が高いため、利回りが高くなります。
格付けに基づいた投資戦略
債券に投資する際には、格付けを元にして、どのように投資を進めればいいのでしょうか。
その投資戦略について、具体的に解説していきます。
投資適格債券に投資する
私たち投資家が債券を選ぶ際には、投資適格債券に投資するのがいいでしょう。
投資適格債券は、格付け機関の格付けがBBB以上の債券のことです。
もしも投機的格付けの債券に投資した場合には、デフォルト率が一気に上がりますので、注意が必要です。
格付けと利回りは相反する関係にありますので、自分の負えるリスクの範囲で投資先を選ぶことが大切です。
新興国債券
投資適格債券の中でも、利回りが高く魅力的なのが「新興国債券」です。
ただ、いくら投資適格といっても、新興国債券にはカントリーリスクや為替変動リスクがあるのでリスクが高いといえます。
新興国債券への投資は、株式投資ほどリスクは取りたくないですが、普通の債券よりも高い利回りを狙いたい場合に検討するといいでしょう。
また、新興国債券に投資するなら、投資信託を使うのも一つの手です。
投資信託なら、一つのファンドで数百の債券に分散投資を行えますので、リスク分散効果を期待できます。
ハイイールド債に投資する
投機的格付けの債券を「ハイイールド債」や「ジャンク債」といいますが、デフォルトリスクが高い分、高利回りなのが魅力的です。
また、ハイイールド債は高利回りなだけでなく、景気が上昇局面でも強いというのが魅力です。
一般的に、債券価格は景気拡大局面では下落するのが普通ですが、ハイイールド債は逆に上昇する傾向があるのです。
そんなハイイールド債に個人で投資するのはハイリスクなので控えたいところですが、投資信託を使って間接的に投資を行うことで、リスクを分散しつつも高利回りを狙うことができます。
ただし、くれぐれも余剰資金の範囲で投資を行うことが大切です。
信用格付けのまとめ
今回は、債券の信用格付けに注目して説明してきました。
信用格付けと利回りのバランスを取りつつ、堅実に投資を行いましょう。