NISAは5年後からしっかり課税される?デメリットを理解しよう
「NISA」といえば、一時期、世間でかなり話題になりました。
年間120万円までの金額が非課税になるというのは、すごく嬉しいですよね。
でも、そんなNISAですが、やっぱりデメリットもあります。このデメリットを甘く見ていると、あとあと痛い目にあいます。
今回は、NISAを利用する上で知っておきたい「デメリット」の部分にも焦点を当て、NISAを解説していきます。
(最終更新日:2022年7月24日)
NISAの基本を理解しよう
NISAとは
NISAとは「少額投資非課税制度」のことで、年間120万円までの投資利益が、5年間非課税となる制度です。
通常、投資の利益にはおよそ20%の税金がかかりますから、税金がまるまる非課税となるNISAは、相当なインパクトがあります。
税金が非課税になる
NISAの一番のメリットが、年間120万円までの投資に対する利益が、非課税になることです。
通常なら2割近くの税金が取られるのに、仮に1億円利益が出ても、税金は1円も掛からないのです。これはすごくお得な制度ですね。
また、投資の利益を非課税のまま再投資に回すことができますので、効率的に資産運用ができます。
非課税は5年間有効
NISAで適用される非課税枠は、最大5年間有効です。
年間120万円の非課税枠が5年分ありますので、総額600万円分の投資に対する利益が免除されます。
絶対押さえたい!NISAのデメリット
メリットばかりに思えるNISAですが、実はデメリットもあります。
しかも、このデメリットはかなり致命的なため、要チェックです。
損失の繰越控除が利用できない
残念なことに、NISAを利用すると損失の繰越控除(※)を使うことができません。
(※)損失の繰越控除とは、投資で生じた損失額を、翌年以降の利益から最大で3年間差し引くことができる制度です。損失の繰越控除を利用することで、税金を大幅に圧縮することができるのです。
例えば、昨年投資で20万円の損失が出て、今年は利益が20万円出たとします。
この場合、今年の利益20万円から昨年の損失20万円を差し引いて、今年の利益を0円として計算することができます。
投資に損失はつきものですので、投資家にとって損失の繰越控除は非常に重要な制度といえます。
しかし、NISAは損失の繰越控除が使えませんので、本格的に投資を進めている人にとって、NISAは使い勝手が悪い制度といえます。
損益通算ができない
さらに悪いことに、NISAは損益通算(※)をすることもできません。
(※)損益通算とは、複数の口座の損失と利益を相殺した上で、最終的な損益を計算することをいいます。
例えば、A口座では利益が20万円、B口座では損失が20万円出ているとします。
この場合、損益通算をすることで、AとB両方の口座の損益を相殺して、利益を0円とすることができます。
損益通算が使えないのは、投資家にとっての死活問題です。
本来は損益通算によって税金を抑えられるはずが、NISAによりそれができなくなってしまい、無駄に税金を支払うことになりかねません。
5年後はしっかりと課税される
NISAの非課税期間は、5年間と明確に定められています。5年経過すると、しっかりと税金が徴収されることになります。
ただ、冷静に考えると、投資というのは20年〜40年と長期投資するのが普通です。ですので、NISAの「5年」という非課税期間は、短すぎるといえます。
また、多くの人が投資信託で長期運用すると思いますが、分配金が出ない投資信託を利用するのがセオリーですから、そもそも課税されるだけの利益が発生しないことになります。
つまり、NISAは非常に中途半端で使い勝手の悪い制度なのです。
非課税枠は戻らない
NISAの非課税枠は、一度使ったら元に戻ることはありません。
100万円分の株を買い、それを全額売ったからと言って、非課税枠が100万円戻ることはないのです。
そもそも年間の非課税枠が120万円というのは少なすぎます。デイトレードをしている人だったら、わずか数日で非課税枠を使い切ってしまうでしょう。
NISAの効果的な使い方
NISAを効果的に利用するためには、どうすればいいのでしょうか?
ここからは、NISAの効果的な使い方についてご紹介します。
1年ぐらいで利益が上がる投資に向いている
5年という期間では長期投資には短すぎますし、120万円という非課税枠は、デイトレードには不向きです。
こう考えると、NISAに向いているのは、1年ぐらいで成果が出る投資先であることが分かります。
ただ、そういった投資先はなかなか見つけにくいかもしれませんね。
投資信託や株式などがおすすめ
NISAは損失が出ると各種控除を利用できませんので、リスクを取った投資はオススメできません。
かといってリスクが低い投資先を選んでしまうと、利益が上がらず非課税のメリットを生かすことができません。
そういう意味では、ミドルリスクの投資先を検討するのがいいかもしれません。具体的には、投資信託や株式などがいいと思います。
NISAのまとめ
NISAは確かに非課税ということで嬉しい制度ですが、蓋を開けてみるとすごく中途半端な制度だということが分かります。
NISAのデメリットについてしっかりと理解して、投資を進めましょう。