ドル建て終身保険の3つのデメリットとは?リスク管理が大切な理由
最近、ドル建て終身保険という言葉を耳にすることが増えてきました。
日本の保険より利率が高いということで、金融機関や保険代理店から勧められている人も多いのではないでしょうか?
ドル建て終身保険とは、その名の通り「ドル建てで行われる保険」のことをいいます。
ドル建て保険に加入することで、銀行にお金預けているよりも高い利率でお金を運用することができます。
しかし、注意しなければならないのが、ドル建て保険には思いもよらないリスクやデメリットが隠されている点です。
下手をすると大変な損失を出すことになりかねませんので、ドル建て保険には細心の注意を払う必要があります。
今回はそんなドル建て終身保険のリスクやデメリットを解説します。
(2022年4月21日更新)
ドル建て終身保険ってどんな保険?
まずはじめに、ドル建て終身保険の基本から改めて確認しましょう。
そもそも「終身」保険とは
ドル建て終身保険の説明に入る前に、そもそも終身保険とはどういう意味なのでしょうか?
終身保険とは、被保険者が死亡または高度障害状態になると保険金が支払われる保険です。
保障期間は一生涯ですので、被保険者が死亡しない限りは一生保証されます。
保険料の払い込み期間が終わると、支払った金額と同等かそれ以上の解約返戻金を受け取ることができます。
また、終身保険を途中で解約しても、それまで支払っていた保険料が解約返戻金としてまとめて戻ってきます。
- 死亡または高度障害になると保険金が出る
- 一生涯保障される
- 途中で解約しても、返戻金が戻ってくる
- 保険とは言いながらも貯蓄性がある
ドル建て終身保険とは
ドル建て終身保険とは、一言でいうと、ドル建てで運用される終身保険のことをいいます。
厳密に言うと少し違いますが、アメリカの終身保険に加入するようなイメージです。
ドル建て終身保険の特徴は、利率が国内の保険よりも高めに設定されており、保険料も割安である点です。
ドル建て保険の基本的な仕組みとして、日本円で支払った保険料をドルに両替して保険に加入し、保険金が下りると、今度はドルから日本円に両替して支払いが行われます。
ドル建て保険は常に「為替レート」の影響を受けます。
また、両替時には為替手数料も掛かるのと、その手数料が高額なケースもあるため注意が必要です。
円建て保険との違い
ドル建て保険と一般的な円建て保険との一番の違いは、ドル建て保険の方が利率が高い点です。
そのため、保険とは言いながら高いリターンが狙えますし、保険料の割引率も高くなるため、保険料も割安な傾向があります。
一方で、ドル建て保険には為替が大きく影響するため、為替リスクが気になる人は、普通の円建て保険に加入するのがいいでしょう。
ドル建て保険のリスクとデメリット
ドル建て保険にはデメリットがあります。特に、為替リスクには要注意です。
- 受取金額が減ることがある
- 毎月の保険料が変動する
- 為替手数料が掛かる
- 初期費用がかかることがある
受取金額が減ることがある
ドル建て保険は、満期保険金や解約返戻金がドルで支払われますので、為替レートのの動向次第では、円換算時の受取金額が減ってしまう恐れがあります。
場合によっては、予定利率を上回る損失が発生することもあります。
万が一に備えて保険に加入したのに受取金額が安定しないのは、大きなリスクでもありデメリットです。
毎月の保険料が変動する
ドル建て保険を分割して払い込む場合、毎回の保険料は為替レートの影響で増減します。
円高なら円換算の保険料は安くなり、円安なら保険料は高くなります。
毎回支払う保険料が安定しないことは、ドル建て保険のデメリットだと言えます。
為替手数料が掛かる
ドル建て保険は、保険料を支払う際や満期保険金を受け取る際に、為替手数料が掛かります。
実は為替手数料ですが、保険代理店や証券会社によってまちまちですし、かなり高額となることもあります。
せっかく利率が高くても、為替手数料が高いために、トータルリターンが下がってしまうのは非常に悲しいことです。
初期費用がかかることがある
ドル建て保険の中には、契約時に契約手数料がかかるものがあります。
この契約手数料は、例えば保険料を一括払いした場合の金額に7%乗じたものだったり、いろいろな計算式があります。
仮に1,000万円の保険に7%の手数料がかかるとすると、契約時に70万円もの手数料が差し引かれることになります。
いくらドル建て保険の利率が高いと言っても、これだけ手数料が引かれてしまっては元も子もありません。
契約手数料には要注意です。
ドル建て保険のメリット
ドル建て保険のメリットにも焦点を当ててみましょう。
- 予定利率が高い
- 為替レート次第では利益が出ることも
- 資産を外貨に分散できる
予定利率が高い
ドル建て保険は、予定利率が高いため、高い運用成果と割安な保険料を実現できます。
円建て保険の方が予定利率が低いので、運用成果、保険料の割引率、どちらを取ってもドル建て保険に軍配が上がります。
為替レート次第では利益が出ることも
ドル建て保険を利用すると、満期時や解約時に為替が円安に振れていれば、本来もらえる金額よりも多くの保険金を受け取ることができます。
しかし、為替の動向次第ではマイナスが発生することもありますので、ドル建て保険はハイリスク・ハイリターンであるといえます。
資産を外貨に分散できる
ドル建て保険を利用することで、日本円だけでなくドル建てで資産を保有することができます。
しかも「保険」ですので、保障を得ながらも外貨建の資産を構築できます。
満期保険金や解約返戻金をそのままドルで保有し続けることもできますので、外貨建て資産として活用もできます。
ドル建て保険が向いている人は?
ここからは、ドル建て保険が向いている人の特徴を挙げていきます!
掛け捨て保険が嫌いな人
保険に加入する上では、貯蓄型保険よりも掛け捨て保険の方が手数料の面で有利です。
しかし、掛け捨て保険に加入しても、結局保険金を受け取らなかったら、損した気分になる人も多いことでしょう。
そういう人は、掛け捨て保険ではなく貯蓄型保険に加入した方がいいかもしれません。
貯蓄型保険の中でも、さらに高い利率を狙いたいのなら、ドル建て保険がおすすめです。
将来ドル建ての資産が欲しい人
ドル建ての資産を保有したいと考えている人は、ドル建て保険を利用することで、補償を受けつつも外貨資産を増やすことができます。
そもそもドルから円に両替する必要がありませんので、為替リスクを気にする必要がありません。
ドル建て保険のデメリットとリスクのまとめ
ここまでドル建て保険について解説してきました。
ドル建て保険には為替リスクがありますので、保険というよりかは、投資先として考えたほうがいいかもしれませんね。