ジュニアNISAでおすすめは積立投資!メリット・デメリットを現役投資家が解説

あなたは「NISA(少額投資非課税制度)」をご存知でしょうか?
実はNISAには大きく分けて3種類あり、20歳以上の成人を対象とした「成人NISA」、2018年1月から始まった「つみたてNISA」、そして20歳未満の子供を対象とした「ジュニアNISA」があります。
今回取り上げるのは、未成年の子供を対象とした非課税制度である「ジュニアNISA」です。
この記事では、ジュニアNISAの基本から始まり、オススメの運用方法やメリット・デメリットを解説します。
この記事を参考に、ジュニアNISAへの理解を深め、自分の子供の将来のため、資産を積み立ててくださいね。
・成人NISA:「NISA(ニーサ)口座のデメリット8つとメリットとは?問題点と欠点を理解しよう」
・つみたてNISA:「つみたてNISAの7つのデメリットとは?メリットとを現役投資家が解説」
(最終更新日:2022年2月19日)
まずはNISAの基本を理解しよう!
ジュニアNISAについて解説する前に、そのおおもとの制度であるNISAについて解説していきます。
NISAとは少額投資非課税制度のことで、年間120万円までの株や投資信託への投資に対する利益が、5年間非課税となる制度です。
本来、投資で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、NISAを利用すれば投資にかかる税金が0円=非課税となるのです。
【非課税のイメージ】
年間120万円の投資枠はその年だけ有効で、例えば投資枠が20万円余ったとしても、それを翌年に繰り越すことはできませんし、口座も原則1人1口座までしか開設できません。
なお、NISAについてもっと知りたい方は、「NISA(ニーサ)口座のデメリット8つとメリットとは?問題点と欠点を理解しよう」にてさらに詳しく解説しています。
参照:金融庁
ジュニアNISAの基本的な仕組みとは
NISAの基本についてご理解いただけたところで、ここからはジュニアNISAの基本から説明していきます。
- 年間80万円までが5年間非課税となる
- ジュニアNISAの対象商品
- 18歳まで出金制限がある
- 2023年以降も非課税で保有可能
年間80万円までが5年間非課税となる
ジュニアNISAでは、子供1人あたり年間80万円までの投資が5年間非課税となります。
仮に子供が2人いる場合には、倍の160万円までが非課税となる計算です。
なお、ジュニアNISAにおける「子供」は、ジュニアNISA口座を開設する年の1月1日時点で19歳以下の子供です。
ジュニアNISAは子どもを対象とした制度ですが、子供が株や投資信託を運用するのは難しく、実際には親権者である親が運用することになります。
ジュニアNISAの対象商品
ジュニアNISAの対象となるのは、投資信託や株式、ETFやREITなどの金融商品です。
なお、定期預金や国債をはじめとした債券などは対象外となっていますので、注意が必要です。
ジュニアNISAを利用すれば、対象商品の売買益や配当金、分配金が全て非課税となります。
参照:金融庁
18歳まで出金制限がある
ジュニアNISAは、子供の中長期的な資産形成を目的とした制度であるため、口座名義人が18歳になるまで途中で出金することはできません。
仮に途中で出金した場合には、過去にさかのぼって税金が課税されます。
なお、災害などの特別な理由がある場合には、口座から特別に非課税で出金することができます。
申請にあたっては、今住んでいる地域にある税務署に確認し、書面を交付してもらう必要があります。
参照:金融庁
2023年以降も非課税で保有可能
ジュニアNISAは、2016年〜2023年まで実施されますが、対象期間である2023年を過ぎても非課税で投資は可能です。
なお、2023年までに20歳になるかどうかでこの扱いが変わりますので、以下順番に解説していきます。
2023年までに20歳になる場合
ジュニアNISAが終了する2023年までに子供が20歳になるケースでは、20歳になった年の1月1日に自動的にNISA口座が開設されます。
そして、その口座にジュニアNISA口座にある株や投資信託を移すことで、非課税を継続することができます。
【2023年以降のイメージ図】
2023年までに20歳にならない場合
ジュニアNISAが終了する2023年までに子供が20歳にならない場合には、ジュニアNISA口座内の投資金額を、20歳になるまで非課税のまま継続管理勘定内(※)にまとめて保有しておくことができます。
(※)継続管理勘定とは、ロールオーバー専用の非課税枠のことをいいます。ロールオーバーとは、5年間の非課税期間が終了した後、次の年の非課税枠に、保有している株や投資信託を移行することをいいます。
継続管理勘定に資金を移せば、20歳になる年の前年の12月31日まで非課税枠を利用することができますが、継続管理勘定内の資金を使って新しく買い付けを行うことはできません。
【2023年以降のイメージ図】
以上参照:金融庁
ジュニアNISA口座と課税ジュニアNISA口座
ジュニアNISAを開始すると、「ジュニアNISA口座(未成年者口座)」と「課税ジュニアNISA口座(払出し制限付き課税口座)」の2つの口座が開設されます。
「ジュニアNISA口座」の方が普通の非課税口座で、この口座内で株や投資信託に投資すると、株や投資信託の売買益や配当金、分配金が非課税となります。
「課税ジュニアNISA口座」は、ジュニアNISA口座内で売却した商品の代金や配当金・分配金のうち再投資に回さない資金を管理する口座です。
課税ジュニアNISA口座内で発生した利益については、税金が課税されます。
5年間の非課税期間が終了したのち、ジュニアNISA口座内の株や投資信託は課税ジュニアNISA口座に移されることになっています。
ジュニアNISAと成人NISAの違いは?
ジュニアNISAと成人NISA、この2つがどうもややこしく感じる人も多いことでしょう。
ジュニアNISAと通常のNISAの一番の違いは、ジュニアNISAの対象者は未成年者で、成人NISAの対象は20歳以上の大人である点です。
参考:「NISA(ニーサ)口座のデメリット8つとメリットとは?問題点と欠点を理解しよう」
また、ジュニアNISAには18歳になるまで出金制限がありますが、通常のNISAにはそれがありません。
以上の表を見てもらえれば分かると思いますが、ジュニアNISAには通常のNISAと比べて色々と制限があることが分かります。
ジュニアNISAを始める際には、こういった制限があることをよく理解しましょう。
参照:SMBC日興証券
ジュニアNISAの3つのメリットとおすすめの利用方法
- 子供の将来の進学資金を準備できる
- 資産を子供の代に継承できる
- 投資の感覚を身につけられる
子供の将来の進学資金を準備できる
ジュニアNISAを利用する一番のメリットが、子供が将来高校や大学に進学した際の学資金を、早い段階から積み立てられることです。
特に教育費として一番かかるのが、子供の大学進学費用です。公立の大学でも607万円、私立の大学だと791万円もの教育費が平均してかかります。
教育資金を準備する方法として学資保険と預貯金がありますが、積立型の学資保険では資金が全然まかなえません。
また、預貯金で教育資金を運用しようと思っても、インフレ率の方が預金金利よりも高いため、預貯金に預けているだけでは逆に資産が目減りしてしまいます。
教育資金を準備するにあたっては、学資保険や預貯金よりもリターンの大きい株や投資信託などで教育資金を準備することが大切です。
ジュニアNISAを利用すれば、非課税の恩恵を受けつつ株や投資信託で効率的に教育資金の準備ができます。
参照:SBI証券
資産を子供の代に継承できる
ジュニアNISAを利用すれば、両親だけでなく祖父母の代からも資産を効率的に継承することができます。
贈与税のかからない年間80万円の範囲で親世代から子供へ資金を移していけば、相続対策にもなりますし、ジュニアNISAを使って非課税で資産運用できるようになります。
投資の感覚を身につけられる
子供がまだまだ小さいうちは、ジュニアNISAの管理は両親が行う必要があるでしょう。
しかし、子供が中学生になった頃から、徐々に口座の管理を子供に任せることをお勧めします。
これからの時代を生き抜いていくためには、子供にお金の正しい知識を身につけてもらうことが非常に大切です。
小さいうちからジュニアNISAを使って投資について少しずつ教えていけば、子供の経済感覚が身につくのをサポートできます。
IPOの時に投資口座を増やせる
IPO株といえば、買えばほぼ確実に儲かることで有名です。
ところが、IPO株は人気がとても高く、抽選に申し込んでもなかなか購入できないことが普通です。
そんな時におすすなのが、複数の口座からIPO株の申し込みを行うことです。
これにより、IPOの抽選回数を増やすことができますので、当選確率を上げることができます。
自分の名義の口座だけでなく、ジュニアNISA口座も活用してIPOに申し込めば、IPO株に当選する確率を上げられます。
また、もしもジュニアNISA口座でIPOが当選すれば、上場後に株を売った利益は非課税となります!
ジュニアNISAのデメリット・注意点とは
- 18歳までは出金制限がある
- 口座を途中で変更できない
- 損益通算ができない
- 株式数比例配分方式を選択しないと課税対象に
18歳までは出金制限がある
子供が18歳になるまで出金制限があることは、ジュニアNISAの大きなデメリットです。
不意にお金が必要になっても、お金を引き出すことができません。
途中でジュニアNISA口座から出金するとなると、過去までさかのぼって税金が課税されてしまいます。
途中で出金しなくて済むよう、余剰資金の範囲でジュニアNISAを行いましょう。
口座を途中で変更できない
ジュニアNISAの場合、一旦口座を開設すると、別の金融機関に口座を変更することは基本的にできません
通常のNISAなら変更も可能ですが、ジュニアNISAは今のところ対応していませんので、注意しましょう。
どうしても変更したい場合には、既存のジュニアNISA口座を一旦廃止し、その上で新しく口座を開設する必要があり、手間がかかるのでオススメできません。
ジュニアNISAでは最初の金融機関選びが何よりも重要です。
・手数料体系
・取扱商品の豊富さ
・取引のしやすさ
こういったポイントをしっかりと比較検討し、ベストな証券会社を選びましょう。
参照:金融庁
損益通算ができない
ジュニアNISA口座内で損失が発生しても、他の特定口座や一般口座内の利益と損益通算(※1)することはできません。
(※1)損益通算とは、「利益が出ている口座」と「損失が出ている口座」の利益と損失を相殺し、節税することをいいます。
例えば、A口座で+5万円、B口座で−3万円の損益が出ている場合、差し引きで2万円(=5万円−3万円)しか税金を支払わなくていいことになります。
また、同様の考え方で、損失の繰越控除(※2)も行うことができません。
(※2)損失の繰越控除とは、ある年の発生した損失が、その年の利益から相殺しきれない部分について、最大3年間にわたって損失を繰越して、次の年以降の利益と相殺することをいいます。
ジュニアNISAは利益が出ている時にはいいのですが、損失ができている時には何の救済措置もありませんので、注意が必要です。
株式数比例配分方式を選択しないと課税対象に
株式数比例配分方式とは、配当金や分配金を証券会社の取引口座に入金してもらう方法です。
同じ銘柄を複数の証券会社で保有しているケースでは、各証券会社の保有残高に応じて配当金や分配金が入金されます。
ジュニアNISAでは、「株式数比例配分方式」を選択しておかないと、配当金や分配金が非課税となりません。
なお、株式数比例配分方式を選択すると、複数の証券会社で株などを保有している場合には、全ての株に株式数比例配分方式が適用されます。
参照:SBI証券
ジュニアNISAの始め方2ステップ!
ここからは、ジュニアNISAを始めるための流れを説明していきます。
ジュニアNISAを始めるまでの流れ
ジュニアNISAを始めるためには、まず口座開設書類を金融機関に提出する必要があります。
その後、金融機関にて税務署に申請を行い、税務署で口座開設が重複していないかの審査を1〜2週間ほどの期間をかけて行います。
その後、問題なければ口座の開設が完了します。
口座が開設されるまで、およそ3〜4週間見ておくといいでしょう。
参照:金融庁
ジュニアNISAを始める際に必要な書類
ジュニアNISAを始めるにあたって、まずは以下の必要書類を準備する必要があります。
・未成年者口座開設届出書
・未成年者のマイナンバー通知届出書
・親権者の本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
・親権者と未成年者の続柄が確認できる書類(住民票や戸籍謄本の写し)
ジュニアNISAのまとめ
今回は、ジュニアNISAについて詳しく解説してきました。
ジュニアNISAは、うまく使いこなせば子供の将来の資金を確実に積み立てられるメリットがあります。
ただ、出金制限があったり、損失に対する救済措置がないばかりに、使い勝手が悪い側面もあります。
メリット・デメリットをしっかりと認識の上で、ジュニアNISAにチャレンジしてみてくださいね。