株の成行注文とは?メリットだけでなく売買の仕組みも全て解説
株式投資を始めたいと思っても、肝心の注文方法がよく分からず、戸惑ってしまう人が多いと思います。
株の注文方法は、基本的なもので「成行注文」「指値注文」「逆指値注文」があり、さらに特殊な注文方法になると、その数は非常にたくさんあります。
株式投資を始めるなら、注文方法は一通りしっかりと押さえたいところ。
そこでこの記事では、株式の基本的な売買方法や注文方法を徹底的に解説していきます。
この記事を参考に、あなたも株式投資を進めてみてくださいね!
(2022年3月20日更新)
株の注文方法は3種類!
株の注文方法には、大きく分けて「成行注文」「指値注文」「逆指値注文」の3種類があります。
それぞれの注文方法についての理解が深まれば、リスクを抑えつつ効率的に利益を上げることができます。
また、指値注文、成行注文、逆指値注文以外にも様々な注文方法があり、それぞれの注文方法の特徴を押さえることで、本業が忙しいサラリーマンでも株式投資で大きく儲けることができるでしょう。
・成行注文
・指値注文
・逆指値注文
成行注文とは
まずはじめに、最も一般的な注文方法である成行注文(なりゆきちゅうもん)について解説します。
成行注文とは
成行注文は、価格を指定しないで注文を行う方法です。
例えば、「成行で100株の買い注文を入れる」「成行で200株の売り注文を入れる」、このような使い方をします。
成行の買い注文を入れると、その時の最も安い売り注文に対応して注文が成立します。成行の売り注文では、最も高い買い注文に対応して注文が成立します。
なお、成行注文は指値注文に優先して注文が成立しますので、一刻も早く取引したい場合には、成行注文を選択するといいでしょう。
ただし、相場は常に動いていますので、成行注文だと注文が成立する価格が多少ずれる恐れがあります。
参照:初心者の株式投資道場
メリット:注文の成立が早い
成行注文は、即座に注文が成立しますので、損切りなどで早急に取引を成立させたい場面で利用するといいでしょう。
例えば、株価が急落している場面では、指値注文を出してもどんどん株価が急落するため、注文がなかなか成立しないことが多いです。
そうすると、さらに株価が下落してしまい、結果的に損失が拡大してしまいます。
こういった場面では、成行注文を出して一刻も早く株を売りきるのが得策です。
成行注文を出すタイミングは、「価格が急騰しているため一刻も早く買いたい」「相場が急落しているため、一気に売り切りたい」など、価格よりも注文成立の早さを優先させたい時です。
デメリット:想定外の株価で注文が成立する恐れがある
成行注文では価格を指定できないため、思わぬ株価で注文が成立する恐れがあります。
特に寄付(よりつき)や引け(※)の場面では、直前の株価と大きく離れた価格で注文が成立することがありますので、注意が必要です。
また、売買高が少ない銘柄にも注意しましょう。
現在の株価に基づいて成行注文を出しても、急に株価が飛んで思わぬ価格で注文が成立することがあります。
「価格はいいから早く注文を成立させたい」という時以外は、成行注文を出すのは得策とはいえません。
(※)寄付(よりつき)とは、前場(午前の部)と後場(午後の部)の最初の取引のことをいいます。
引けは前場と後場での最後の取引を指します。
寄付の場面では、取引開始前に出ていた全ての成行注文が成立するように株価がつきます。
そのため、前日や前場の株価とは大きく離れた価格で注文が成立することがあります。
【株の取引時間】
参照:価格ドットコム
指値注文とは
成行注文とあわせて必ず押さえておきたいのが、指値注文(さしねちゅうもん)です。
指値注文とは
指値注文は株式投資で最もポピュラーな注文方法で、取引価格を指定して注文を行います。
例えば、「300円の指値で100株の買い注文を入れる」「500円の指値で100株の売り注文を入れる」、このような使い方をします。
指値注文は、買い注文では指値以下の価格でしか注文が成立せず、売り注文では指値以上の価格でしか注文が成立しない特徴があります。
例えば、300円で買い注文を入れた場合には、株価が300円以下にならないと注文が成立しません。
逆に500円で売り注文を入れたケースでは、株価が500円以上にならないと注文が成立しません。
なお、指値の価格は、東証で取引する場合には、最長で1ヶ月先まで指定することができます。
参照:初心者の株式投資道場
メリット:希望する株価で取引できる
指値注文のメリットは、何と言っても希望した価格で取引できることです。
「この株価まで下がったら買いたい」「この株価まで上がるなら売りたい」など、自分の中で目標とする価格を決めて取引を行うことで、確実に利益を上げることができます。
デメリット:売買の機会を逃す可能性がある
買い注文の場合には、希望した価格よりも株価が下がらないと注文が成立しませんし、売り注文では株価が指値よりも上がらないと注文が成立しません。
指値注文はなかなか注文が成立しないために、売買のチャンスを逃してしまう恐れがあります。
指値注文は、株価が急騰している時や株価が急落している時など、相場が一方的に動いている時には向いていないと言えるでしょう。
指値注文と成行注文の違いは?
ここまで指値注文と成行注文について解説してきました。
それでは、両者にはどのような違いがあり、実際の取引ではどのように使い分ければいいのでしょうか?
注文時に価格を指定するかがポイント
指値注文と成行注文の一番の違いは、「注文時に価格を指定するかどうか」です。
売買する価格を重視したいのなら「指値注文」を、取引スピードを重視したいのなら「成行注文」を選択するのがポイントです。
基本的に、株を売買する時には指値注文を使います。
指値注文をすることで、あらかじめ値上がり益と損切りラインを想定することができますね。
この場面で大切なのは、何と言っても「株価」ということです。
一方、損切りをする時には成行注文を利用します。
損切りしなければならない場面は、自分の想定とは異なる値動きをした時です。
そのような時には、一刻も早く株を手放して損切りする必要があります。
この場面では、価格よりもスピードが優先となりますので、成行注文を選択するわけです。
参照:価格ドットコム
逆指値注文でリスクヘッジをしよう
指値注文と成行注文以外に知っておきたいのが、逆指値注文です。
逆指値注文は、通常の指値注文とは逆の発想の注文方法です。
株価が指定した価格よりも高くなれば買い、安くなれば売りを入れる注文方法です。
逆指値注文をうまく活用すれば、損切りラインをあらかじめ設定してリスクを抑えたり、一定の条件下で利益確定できるようになります。
以下、逆指値注文の活用方法についてご紹介します。
参照:初心者の株式投資道場
活用方法① 売りの逆指値注文で損切り
「株価が一定の価格より下がったら売り注文を入れる」とあらかじめ逆指値注文を出しておけば、株価が急落しても自動的に売り注文が成立し、損失を抑えることができます。
株式投資をしていると、自分の予想が外れてしまうことや、市場全体が急落することも多くあります。また、つい感情的になって、なかなか損切りできなくなってしまう場面もあることでしょう。
このような時にあらかじめ逆指値注文を出しておけば、機械的に損切りを行うことが可能となり、結果として大損するリスクを回避することができます。
【売りの逆指値注文のイメージ】
A株を1,250円(①)で購入したとします。これから相場は上昇すると予想されましたが、万が一予想が外れた時に備え、念のため1,180円(②)で売りの逆指値注文を入れておいたとします。
そして、当初の予想に反して株価が急落に転じたとすると、あらかじめ逆指値で売り注文を入れていたため、損失は1,180円(③)までに限定することができます。
参照:楽天証券
活用方法② 買いの逆指値注文で安く株を買い付ける
買いの逆指値注文を活用すれば、相場が上昇へ転じた早い段階で、安く株を買い付けることができます。
一定の価格付近で相場が揉み合っているボックス相場では、直近の高値を株価が超えると、それから上昇トレンドに変わることが多くあります。
このような場面では、あらかじめ直近の高値付近で買いの逆指値注文を出しておけば、上昇トレンドに転じた早い段階で安く株を買い付けることができ、より多くの利益を得ることができます。
【買いの逆指値注文のイメージ】
株価が、1,150円から1,250円の間のボックス圏を推移しているとします。この時、直近の高値の1,250円よりも高い1,270円(①)で買いの逆指値注文を入れておきます。
そして、予想通り株価がボックス圏から上昇トレンドに転じると、1,270円(②)で注文が執行され、上昇トレンドの早いタイミングで安く株を購入することができます。
参照:楽天証券
その他の注文方法
指値注文、成行注文、逆指値注文以外にも、株式投資には様々な注文方法が存在します。
こちらでは、数ある注文方法の一部をご紹介したいと思います。
なお、証券会社によっては取り扱いのない注文方法もありますので、自分が普段取引する証券会社の情報をよく確認しましょう。
①OCO注文
OCO注文は「One Cancels the Other」の略で、2つの注文を同時に出し、片方の注文が成立したらもう片方の注文をキャンセルする注文方法です。
OCO注文を利用すると、利益確定売りと損切りの両方の注文を同時に出すことができます。
一度注文を出してしまえば、あとは手放しにしておくことができます。
参照:SBI証券
②IFD注文
IFD注文は「If done」の略で、ある注文が成立すると、あらかじめもう一つ出していた別の注文が執行される注文方法です。
例えば、「A株の買い注文が1,000円で成立したら、次にその株が1,200円になったら売り注文を出す」といった使い方をします。
条件付きの注文をあらかじめ出しておけるため、相場に常に張り付いておく必要がありません。
参照:SBI証券
③IFO注文
IFO注文は、IFD注文とOCO注文を組み合わせた注文方法です。
最初にIFD注文が成立すると、次にOCO注文が自動的に発動されます。
IFD注文は一度に一つの注文しかできませんが、OCO注文は二つの注文を出すことができます。
両者を組み合わせることで、一度に3つの注文を出すことができます。
参照:SBI証券
④IOC注文
IOC注文とは「Immediate or Cancel order」の略で、指定した指値で即座に成立した注文だけを生かして、成立しなかった注文分はキャンセルする方法です。
次々に売買を繰り返すデイトレーダー向けの注文方法です。
⑤連続注文
連続注文は、事前に2つ以上の注文を出しておき、最初の注文が成立したら次の注文を出すという注文方法です。
リレー注文や連続売買とも呼ばれます。
一見するとIFO注文と同じように思えますが、IFO注文と違い同じ銘柄で注文を出す必要がありません。
例えば、「A株の買い注文が成立したら、次にB株の売り注文を出す」といった使い方をします。
⑥SOR注文
SOR注文とは「Smart Order Routing」の略で、複数の市場の中から、注文者にとってもっとも有利な価格がつく市場を見つけ出し注文を出す方法です。
例えばSBI証券では、PTS市場(※)と東京証券取引所の両方で取引が可能で、有利な方の市場に注文が出されるようになっています。
(※)PTSとは私設取引システムのことをいい、証券取引所を通さずに株の取引ができるシステムです。PTS取引をすることで、証券取引所の取引時間外でも株の取引が可能となります。
⑦リバース注文
リバース注文とは、売買注文を入れた際に、反対売買注文も事前に設定する注文方法です。
例えば、「A株の買い注文が成立したら、価格が2,000円上昇したタイミングで売り注文を入れる」といったことが可能となります。
日中忙しいサラリーマンでも、リバース注文を入れれば常に相場をチェックしなくても売買タイミングを逃しません。
忙しいサラリーマン必見!必ず押さえたい注文方法とは
ここまで、株のいろいろな注文方法について解説してきました。
でも、私たちサラリーマンにとって一番の問題が、「日中は仕事で時間が取れない」ということではないでしょうか?
そこで、ここからは忙しいサラリーマンでも株式投資ができる方法を解説します。
目指せ副業サラリーマン!
①逆指値注文で損失を限定して取引をする
保有している銘柄に逆指値注文を出しておくことで、万が一価格が急落しても、その損失を限定することができます。
特に株式投資を始めて日が浅い人は、自分の予想が外れることも考慮に入れて、逆指値注文を積極的に利用するようにしましょう。
【逆指値注文のイメージ】
例えば、1,050円で買ったA株があるとします。A株がこのまま上昇を続けたら問題ありませんが、もしかしたら1,050円を下回ってしまう可能性もあります。
このような時に、仮に950円で逆指値注文をあらかじめ入れておけば、万が一株価が急落しても、損失額は950円で抑えることができます。
参照:松井証券
②IFD注文で忙しくても買いと売りを自動的に実行
IFD注文を利用することで、自分の注文が約定したのを見届けることなく、あらかじめ次の注文を出しておくことができます。
つまり、最初の1回だけ注文を出しておけば、あとは自動的に買い付けと利益確定を行うことができます。
「朝のうちにIFD注文を出しておき、日中は会社で働いて、そして帰宅後には取引がすべて終了している」といった使い方ができます。
【IFD注文のイメージ】
例えば、IFD注文を使ってA株の買い注文を1,100円で入れ、次に売り注文を1,200円で出したとします。
最初に出した1,100円の買い注文が成立すると、IFD注文により自動的に1,200円の売り注文が出され、株価が予想通り1,200円に上昇すると、注文が成立して利益確定できます。
参照:楽天証券
③OCO注文で上昇・下落どちらに転んでも利益を得る
OCO注文を行えば、利益確定と損切りを同時に設定することができるため、相場が上昇しても下落しても利益を得ることができます。
日中忙しいサラリーマンでも、OCO注文を利用することで、利益のチャンスを確実に積み上げることができます。
【OCO注文のイメージ】
例えば、株価が9,000円のA株を保有しているとして、以下のような売り注文を出します。
・指値注文;「A株を9,500円で売りたい(利益確定)」
・逆指値注文;「A株を9,100円で売りたい(損切りライン)」
この状態になると、相場がどう転ぼうが確実に利益を上げられますので、常にチャートに張り付いていられない人にはありがたい注文方法です。
参照:SBI証券
④リバース注文で時間を有効活用
リバース注文を利用することで、忙しいサラリーマンでも時間を有効活用して投資ができます。
リバース注文を利用すれば、例えば買い注文を入れる時に、「ある価格まで上昇したら売り注文を入れる」と条件をつけておくことができます。
これにより、一回の作業で買い付けから売却までを終了させることができます。
朝のうちにリバース注文で買い注文と売り注文を出しておき、会社から帰宅した頃には全ての売買が成立し利益確定されているイメージですね。
⑤連続注文を使って限られた資金で効率的に投資する
手持ち資金に限りがある場合、手持ちの株を売ってから別の株を買う必要がありますが、手持ちの株の売り注文が成立してからでないと買い注文を入れることができません。忙しいサラリーマンにとって、売りから買いまで相場に張り付いているのは至難の技でしょう。
そんな時には、連続注文を入れることで、売りから買いまでの注文を一度で手配可能です。連続注文を使えば、限られた時間と資金を有効活用して効率的に投資を行うことができます。
なお、予約できる注文数は、証券会社によって異なります。
【連続注文のイメージ】
株の注文方法のまとめ
今回は、様々な株の注文方法について解説してきました。
基本的には、指値注文と成行注文で取引を行い、万が一に備えて逆指値注文を入れておくといいでしょう。
逆指値注文を入れておくだけで、何もしていない投資家よりもリスクを抑えて投資ができます。
今回ご紹介した注文方法をうまく組み合わせれば、リスクを抑えて手堅く投資を行えるようになります。
株の注文方法をしっかりと理解し、堅実に投資を行いましょう!