ETNとETFの違いはなに?ETNの基本的な仕組みとは
ETFと似たような金融商品に「ETN」があります。おそらく、ETNという言葉を知っている人は、それほどいないのではないでしょうか??
ETNとETFという言葉は非常にややこしいですし、その仕組みもかなり似ているところがあります。
この記事では、そんなETNの基本と、ETFと比較した違いについて解説します。
(最終更新日:2022年7月10日)
ETNの基礎知識
ETNとは
ETNは「Exchange Traded Note」の略で、日本語で「上場投資証券」または「指標連動証券」と呼ばれています。
「Exchange Traded」は取引所で売買されることを意味し、「 Note」は債券を表し、証券取引所に上場され、特定の指標に連動する債券のことをいいます。
ETNは債券
ETNは債券の一種のため、ETFのように実際の銘柄に投資して運用を行なっているわけではありません。
ETNを発行した金融機関が、TOPIXなどの指標と連動した買取と償還を保証することにより、ETNの価値が担保されています。
ETNそのものには裏付けとなる資産がないため、発行した金融機関が破綻したり経営が悪化した場合には、ETNの価格に影響が及ぶことになります。
ETNは債券、ETFは投資信託と考えると分かりやすいでしょう。
ETNとETFの違い
ETNとETFの違いは、ズバリ実際の資産の裏付けがあるかどうかです。
ETFの場合には、実際の指標と同じ構成銘柄の株式や債券に投資を行い、指標と連動するように運用を行います。
つまり、ETFは実際の資産に投資を行うために、資産の裏付けがあるのです。
一方、ETNは実際に資産を持っているわけではありません。
ETNの価格は、あくまで発行した金融機関がその水準で買取したり償還することを保証しているに過ぎないのです。
そのため、万が一発行した金融機関が破綻した場合には、ETNの元本が戻ってこない可能性があります。
このように、ETNとETFは似ているようにも見えますが、資産の裏付けがあるかないかで、大きな違いがある商品なのです。
ETNの特徴
リアルタイムで取引できる
ETNはETF同様、リアルタイムで取引を行うことができます。また、指値注文や成行注文も可能ですので、株式投資と同じような感覚で取引することができます。
また、信用取引をすることも可能です。
様々な指標に連動できる
ETNには裏付けとなる資産が必要ないため、多くの指標を対象にして設定が可能です。
そのため、投資規制があってなかなか投資が難しい商品であっても、ETNなら投資対象とすることが可能です。
ETFの場合には、投資規制があったらその資産に投資することができませんので、その指標と連動することは不可能になります。
トラッキングエラーが発生しにくい
ETFの場合には、実際の取引価格と、対象とする指標との間に差(トラッキングエラー)が生まれることがあります。これは実際に資産に投資しているため、仕方がないことです。
一方のETNは、発行した金融機関が対象の指標と連動することを保証しているため、そのトラッキングエラーが生まれにくくなっています。
コストが安い
ETNは実際に資産を保有しているわけではないため、ランニングコストが安くなるメリットがあります。
ETFの場合には、実際に株式や債券に投資を行っているわけですから、どうしても運用コストがかかってしまいます。
ETNのコストとしては、ETNを購入する際にかかる売買手数料と、保有している間にかかる年間手数料があります。
年間手数料は、ETFにおける信託報酬と同じと考えて差し支えありません。
ETNの注意点
発行体の信用リスクは要確認
ETNは実際の資産の裏付けがないわけですから、発行体が破綻したり業績が悪化した場合には、ETNの価格が下落したり、価値がなくなることもあります。
そのため、発行体の信用力については、よく確認する必要があります。
基本的には、証券取引所の厳しい基準を通過しているわけですから、信用リスクはそこまで高くはないと考えられます。
ただし、長期的に見るとどうなるか分かりませんので、定期的に確認することが大切です。
流動性が低い
ETNは、ETFと比べて流動性が低い傾向にあります。そのため、売りたくても売れなかったり、価格が極端に変動する恐れがあります。
過去の情報が少ない
ETNが最初に上場したのは2006年ですから、まだそこまで過去の運用実績があるわけではありません。
また、連動する指標も普段聞き慣れないものが多いですから、投資をする際には、指標の特徴をよく確認する必要があります。
ETNとETFの違いのまとめ
この記事ではETNについて解説してきました。
今後ETNがどのように拡大するか分からないところがありますので、今後の動きに注目したいところです。