毎月分配型ファンドのデメリットは元本割れ!メリットもあるって本当!
投資家の間で根強い人気があるのが、毎月分配型の投資信託です。
たしかに、投資信託を持っているだけで毎月分配金がもらえるのは、非常に嬉しいですよね。
しかし、毎月分配型ファンドは「デメリット」が取り上げあげられることが多くあります。
・分配金で元本割れすることがある
・税金がかかってしまう
こんなデメリットを耳にしたことがある人も多いことでしょう。
果たして、毎月分配型ファンドに投資する意味は本当にないのでしょうか?
この記事では、毎月分配型投信のデメリットとメリットに焦点を当て、
「毎月分配型ファンドは実際のところどうなのか?」
というあなたの疑問にお答えします。
(最終更新日:2022年4月19日)
毎月分配型ファンドの5つのデメリットを再確認!
毎月分配型ファンドのデメリットは、うんざりするぐらい色々なところでいわれています。
まずは毎月分配型ファンドのデメリットを確認しましょう。
- 元本割れの恐れがある
- 税金が引かれる
- 手数料が高い
- 投資の状況がわかりにくい
元本割れの恐れがある
毎月分配型ファンドで最も気をつけなければならないのが、元本割れの恐れがあることです。
そもそも投資信託の分配金には「普通分配金」と「特別分配金」の2種類があります。
普通分配金は純粋に投資信託のあげた利益から分配されるお金です。
一方、特別分配金は、元本を無理矢理取り崩して分配されるお金です。
投資信託は、運用資産を取り崩して分配金を支払うため、分配金が出ると基準価額が下がります。
投資信託の運用がきちんと行われ、利益の中から普通分配金が支払われる分には問題ありません。
しかし、特別分配金になると、元本を切り崩して分配金を支払っているため、特別分配金をもらっても投資家が得することはありません。
むしろ、投資信託には購入手数料や信託報酬などの運用手数料がかかるため、トータルの収支はマイナスになります。
特別分配金を銀行預金で例えると、例えば10万円の貯金をしていて、毎月1万円が自動的に下ろされて返金されるようなものです。
この1万円は、ただ単にあなたのお金が返ってきたにすぎません。
毎月分配型ファンドに投資するときには、その分配金が普通分配金なのか特別分配金なのか、しっかりと確認することが大切です。
税金が引かれる
投資信託の分配金には税金がかかります。
受け取った分配金を使って同じ投資信託を買い増しても、分配金からはすでに税金が引かれているため、再投資に回せるお金は少なくなります。
投資効率を最大限に高めたいのなら、分配金の出ない投資信託に投資した方がよくなります。
トータルの収支で考えると、分配金の出ない投資信託の方が利益は大きくなります。
手数料が高い
毎月分配型ファンドは、運用コストが割高になるデメリットがあります。
毎月分配型ファンドは、普通の投資信託と比べると購入手数料や信託報酬が高い傾向にあります。
中には購入時手数料が3%で、信託報酬が2%に迫るものもあり、さすがにこれだけの手数料が取られると、手数料だけで相当のコストがかかってしまい、投資効率が悪くなります。
毎月分配型ファンドは必ずしも悪いものではありませんが、購入手数料や販売手数料が高いものは避けるべきです。
投資の状況がわかりにくい
投資信託は、分配金が支払われると資産総額が減少します。
一方、投資信託の運用状況を判断する上で、資産総額が増えていることは重要な要素となります。
そういう意味で、毎月分配型ファンドは毎月分配金が支払われるため、資産総額の減少が分配金によるものなのか、それとも単純に運用が悪いためなのか、すぐに見分けがつかないデメリットがあります。
こうなると、運用に致命的な欠陥があっても、気づくのが遅れる可能性もあります。
毎月分配型投信にも2つのメリットがある!
毎月分配型ファンドはデメリットばかりが強調されますが、毎月分配型ファンドにもメリットはあります。
- 毎月お金がもらえる
- 手間がかからない
毎月お金がもらえる
毎月分配型ファンドの一番のメリットが、基準価額に関係なく一定の分配金がもらえることです。
誰だって毎月一定の「お小遣い」がもらえたら嬉しいですし、得した気分になりますよね。
投資額次第ではかなりの額を分配金として受け取ることができますので、生活費代わりにしたり年金代わりにすることだってできます。
手間がかからない
手間がかからないことも、毎月分配型ファンドの大きなメリットです。
例えば自分で定期預金をしていると、お金が必要になった時に一定額を解約しなければなりませんが、毎月分配型ファンドなら毎月自動的に分配金が振り込まれますので、手間がかからずお金がもらえるメリットがあります。
しかも、もらえるお金は運用されて利益が出たお金ですので、運用コストが安い投資信託を選びさえすれば、単純に貯金するよりもよっぽど効率的と言えます。
結局、毎月分配型ファンドはどうなの?
結局のところ、毎月分配型ファンドはメリットとデメリット、どちらの方が大きいのでしょうか?
ここからは、「毎月分配型ファンドって結局どうなの?」というあなたの疑問にお答えします。
投資家の判断で良くも悪くもなる
結論から言うと、毎月分配型ファンドは投資家の考え次第で良くも悪くもなります。
たしかにトータルのリターンで考えれば、毎月分配型ファンドの方がそうでないファンドよりも複利の効果が小さくなるため、リターンも小さくなります。
しかし、毎月分配型ファンドは分配金が出るため、「お得感」を求めるのであれば、単純に定期預金よりもリターンは高いわけですし、メリットはあると考えられます。
選定基準はしっかりと持とう
毎月分配型ファンドに投資するかどうかは個人の主観よるところがありますが、絶対に譲れないのが、明確な基準を持って投資信託を選ぶことです。
投資信託の選びのポイントとしては、以下のものが挙げられます。
・購入手数料が無料
・信託報酬が0.7%以下
・特別分配金が支払われていない
特に毎月分配型ファンドは購入手数料や信託報酬などの手数料が高いため、手数料の高い投資信託を購入してしまうと、手数料だけでだいぶ損してしまいます。
購入手数料は無料、信託報酬はなるべく安いものを選びましょう。
また、特別分配金が支払われている投資信託も要注意です。
特別分配金はあくまで元本の払い戻しにすぎませんので、利益から支払われる普通分配金が出る投資信託を選びましょう。
毎月分配型投信の基本を改めて確認しよう
基本を理解しているつもりでも、実は抜け落ていることはよくあることです。
ここからは、毎月分配型ファンドの基本を改めて確認していきます。
そもそも投資信託とは?
毎月分配型ファンドを理解するためには、投資信託についての理解が不可欠です。
投資信託とは、投資家から集めた資金をファンドとして一つにまとめ、それを投資のプロが運用する金融商品です。
ファンドは株や債券などの様々な金融商品に投資します。
ファンドの運用が順調に行われ利益が出ると、その利益が投資家に分配金として還元されます。
分配金がない(無分配型)投資信託
無分配型の投資信託とは、ファンドが利益を上げてもそれを分配金として還元せず、ファンドの資産に組み入れたまま運用する投資信託です。
無分配型の投資信託は、分配金を出さない分、複利の力で資金がどんどん増えていきますので、長期的に見るとリターンが高くなります。
分配金がある(分配型)投資信託
分配型の投資信託は、分配金の出る投資信託です。
分配型の投資信託は2種類に分けられ、分配金を現金として受け取るタイプと、分配金をそのまま再投資に回すタイプがあります。
複利という意味では、再投資タイプの方が長期的な資産形成には向いています。
なお、再投資タイプとはいっても、分配金には税金がかかり、税金が差し引かれた残りが再投資に回されます。
基本的に分配金は年1回の決算のタイミングで支払われることが多いですが、毎月分配型ファンドのように毎月支払われるものもあります。
毎月分配型投信の仕組みとは
さて、毎月分配型ファンドは、どのような仕組みで分配金を出しているのでしょうか?
こちらでは分配金の仕組みをご紹介します。
普通分配金と特別分配金
投資信託の分配金は、「普通分配金」と「特別分配金」の2種類に分けられます。
普通分配金とは、純粋にファンドがあげた利益から支払われる分配金です。
特別分配金は利益が出ていないにもかかわらず支払われる分配金です。
本来、利益が出ていないので分配金を支払うことはできないはずですが、わざわざ元本を取り崩して無理やり支払っているのが特別分配金です。
分配金に対する税金
普通分配金は純粋に利益の還元ですので、分配金に対して税金がかかります。
一方、特別分配金は利益ではなく単純に元本の払い戻しにすぎませんので、税金はかかりません。
税金面では、特別分配金にはお得なイメージがありますが、あくまで元本を取り崩しているにすぎませんので、もらっても何のメリットもありません。
毎月分配型ファンドの分配金
毎月分配型ファンドは、普通分配金が支払われている分には問題ありませんが、特別分配金が支払われた時には注意が必要です。
特別分配金が出るということは、ファンドが利益を出していない証拠になりますので、解約も視野に入れる必要があります。
参考:「投資信託の正しい利益確定と損切りのタイミングとは?売り時や解約タイミングも解説」
毎月分配型ファンドのデメリットのまとめ
この記事では毎月分配型ファンドについて解説してきました。
毎月分配型ファンドは、長期的に運用する時にはデメリットの方が大きいですが、短期的には、分配金がもらえるというお得感があるため、投資してもいいかもしれません。
しかし、毎月分配型ファンドは手数料が高いことが多いですし、特別分配金が出ているファンドもありますので、運用状況をよく確認することが大切です。