不動産の媒介契約の種類とその特徴を分かりやすく解説
不動産を購入するにあたって、ほぼ全ての人が不動産仲介業者を通じて物件を購入することでしょう。
不動産仲介業者は、買主と売主をつなぐパイプラインの役割を果たしているのです。
ところで、不動産の売主と仲介業者は媒介契約(ばいかいけいやく)を締結し、それに基づいて仲介業者が不動産の仲介をしています。
媒介契約には様々な種類があり、その契約内容によって購入時に有利に進められるかどうかが変わってきます。
この記事では、不動産を有利な条件で取引するために、媒介契約を種類ごとに解説していきます。
それぞれの契約の特徴をしっかりと理解しましょう。
(最終更新日:2022年6月8日)
不動産の媒介契約の種類
媒介とは
媒介(ばいかい)とは、売主と買主の間に仲介業者が入る取引形態です。
不動産市場に流通している多くの中古物件が、媒介に当たります。
媒介をすることで、売主は煩雑な手続きを仲介業者に丸投げできますし、買主としても、複数の不動産をまとめて確認できるようになります。
ただし、媒介の場合には、必ず仲介手数料が発生します。
なお、媒介の場合には、売主と仲介業者が媒介契約を結び、その契約に基づいて仲介業者が買主を探してきます。
媒介契約は、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類に分けられます。
一般媒介契約
一般媒介契約を結ぶと、売主は複数の仲介業者に物件売却の依頼をかけることができます。
また、売主は自ら買主を見つけてきて、直接売買を行うこともできます。
通常、不動産を売りたい時には、レインズという不動産業者ネットワークに不動産の情報を登録する必要がありますが、一般媒介契約ではその必要がありません。
売主が自らの裁量のもと売却を行えるのが、一般媒介契約の特徴です。
専任媒介契約
専任媒介では、売主は一社だけにしか物件の売却依頼をかけることができません。
一方、売主自ら見つけてきた買主とは、直接売買契約をすることができます。
また、不動産会社には売主に対して定期的に問い合わせ状況などを報告する義務があり、また、レインズにも7営業日以内に物件情報を登録する義務が課せられます。
専属専任媒介契約
専属専任媒介契約は、売主にとって最も制約の大きい契約です。
売主は一社だけにしか物件の売却依頼をかけられないだけでなく、自ら買主を見つけてくることもできません。
一方、仲介業者は売主に対して定期的に業務の進捗状況を報告をする義務があり、かつ5営業日以内にレインズに物件情報を登録する義務があります。
以上のように、一般→専任→専属専任の順で売主側の縛りが厳しくなりますが、その一方で、仲介業者には指定された期日までにレインズに物件情報を登録する義務が課せられます。
ところが実際のところ、多くの仲介業者が自分たちで物件を販売して利益を得ようとして、レインズへ情報を登録しなかったり、登録しても他社に取り扱いをさせないことがあるようです。
媒介契約の豆知識
仲介業者の状態を表す言葉として「両手」と「片手」があります。
両手
「両手」とは、売主と買主の間に一つの業者しかいない状態を表しています。
一つの業者しか間にいないため、仲介業者は売主と買主の双方から仲介手数料を取れることになります。
両手の状態が仲介業者にとって最も儲かる状態ですので、仲介業者としてはできるだけ両手で物件を取り扱いたいと考えています。
そのため、他の仲介業者が入ってこないように、レインズへの登録を渋ったりします。
本当はレインズに登録しないといけないのですが、素人の売主の前では黙ってそのままにしていることもあるようです。
片手
「片手」というのは、売主と買主の間に異なる業者が入っている状態を表します。
この場合、買主と売主のそれぞれの仲介業者は、一方からしか仲介手数料がもらえません。
片手の状態ですと、両手の時と比べて仲介手数料が半分になってしまうのです。
仲介業者が「両手」なのか「片手」なのかが分かれば、仲介業者の手の内が分かり、不動産取引において有利に交渉を進めることができます。
その他の取引方法の種類
不動産の取引方法は、何も媒介だけではありません。他にも様々な種類がありますので、順番に解説していきます。
代理
代理というのは、売主や買主の代理人が仲介に入って物件を取引する方法です。
原則、仲介手数料が必要ですが、場合によっては不要となることもあります。
ただ、実際のところ代理人を使った詐欺もありますので、初心者のうちは避けた方がいいかもしれません。
売主
不動産会社自らが保有する物件を販売するのが売主です。
間に仲介者が一切いないため、仲介手数料がかからないメリットがあります。
ただし、不動産会社が販売している物件の多くは転売目的のものが多く、利益が上乗せされていることが多いため注意しましょう。
競売
競売とは、住宅ローンなどの借入金を返済できなくなった場合に、その借り入れの担保になっている土地や建物を裁判所が強制的に売却することをいいます。
競売は銀行などの債権者が裁判所に申し立てることによって実行され、裁判所が最低売却価格を決めた上で入札が行われます。
入札で最高値をつけた人が落札者となり、物件を購入することができます。
競売の一番のメリットは、一般的な取引価格よりも有利な価格で不動産を購入できることです。
しかし、大きな欠陥があった場合に売主の責任が追及できないことや、物件に占有者がいる場合に、追い出す手間がかかるデメリットがあります。
また、落札前に物件内部を見ることもできませんので、そこもデメリットです。
競売は玄人向けですので、投資初心者は避けるようにしましょう。
任意売却
任意売却とは、住宅ローンなどの借入金が支払えなくなった際、所有者と銀行などの債権者の間に仲裁者が入り、不動産を競売に掛けることなく、全員の意向に沿った価格で不動産を売却することをいいます。
任意売却の場合には、競売のように不特定多数の目に触れることなく物件を購入することができ、市場価格よりも安い価格で不動産を購入することができること多いです。
まとめ
ここまで、不動産の取引の種類について解説してきました。
取引の種類だけでこれだけあるわけですが、初心者のうちはもっともオーソドックスな「媒介」を選択するのが無難でしょう。
しっかりと取引形態を頭に入れて、物件の購入に臨みましょう。