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扶養に入るメリット・デメリットとは?社会保険上と税法上の扶養控除を解説

夫の扶養の範囲で働こうかどうか悩んでいる人は多いのではないでしょうか?

それもそのはず、給料が一定の金額を超えると夫の扶養から外れてしまい、思いがけないマイナスを被ることがあります。

実際のところ、「具体的にいくらまでの給料なら扶養の範囲なのか?」ということを理解している人は多くないと思います。

実を言うと、扶養で問題となる給料の金額には2つの壁があります。

そして、「結論から先に知りたい!」という方のために、扶養の条件を簡単に記載します!

扶養の対象となる収入の条件
    • 税法上の扶養控除:103万円以内
    • 社会保険上の扶養控除:130万円以内

→上記の金額を超えると、それぞれの扶養から外れてしまい、経済的損失を被ることがあります。

一言で「扶養」と言っても、実は「税法上」の扶養と「社会保険上」の扶養の2種類があります。

扶養控除について理解する上では、税法上と社会保険上の扶養の取り扱いについて理解することが不可欠です。

この記事では、2種類ある扶養の種類と、具体的にいくらまでの収入ならそれぞれの扶養から外れないのか、そしてそれぞれの扶養から外れることのメリット・デメリットについて解説していきます。

この記事で分かること
  • 「税法上」「社会保険上」の扶養の具体的な内容
  • 具体的にいくらまでの収入なら扶養から外れないのか
  • 扶養から外れるメリット・デメリット

この記事で、扶養に対する理解をしっかりと深めてくださいね。

(最終更新日:2022年3月25日)

扶養控除には2種類あることを理解しよう!

扶養には「税法上」の扶養と「社会保険上」の扶養の2種類があります。

税金を少しでも抑えたかったら、それぞれの扶養について正しく理解することが大切です!

扶養の種類
  • 税法上の扶養:いわゆる普通の扶養
  • 社会保険上の扶養:健康保険上の扶養

税法上の扶養って何?

税法上の扶養というのが、私たちが普段何気なく使っている扶養控除のことを言います。

税法上の扶養とは、納税者に扶養する家族がいる場合、所得税や住民税を減額する仕組みです。

例えば専業主婦の場合、夫の扶養に入ることで、夫の税金が安くなります。

具体的な仕組みをいうと、扶養控除の対象となる家族がいる時に、納税者に対して扶養控除が適用され、所得税と住民税が安くなるのです。

税法上の扶養のポイント
  • 扶養する家族が一定の条件を満たすと、納税者(主に夫)の税金が安くなる

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【税法上のメリット】税金が安くなる

税法上の扶養控除の対象となると、所得控除が受けられるため、納税者の税金が安くなります。

以下の図は、所得税の扶養控除の金額を表しています。

区分 控除額
一般の控除対象扶養親族(16歳以上) 38万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満) 63万円
老人扶養親族
(70歳以上)
同居老親等以外 48万円
同居老親等 58万円

表にある通り、扶養する家族が16歳以上になると、扶養控除の対象となります。

なお、年齢によって扶養控除の金額が異なるのは、扶養する家族の年齢によって負担の大きさが異なるためです。

19歳〜22歳(大学生が多い年齢)や70歳以上(介護等が必要な年齢)では扶養控除金額が大きくなっており、実際の負担に応じて控除額が大きくなる仕組みをとっています。

ちなみに、住民税にも扶養控除制度が存在し、同じく税金を抑えることができます。

参照:国税庁

対象となる家族の範囲

扶養控除の対象となるのは、6親等以内の親族や3親等以内の姻族です。

扶養控除は祖父やいとこの孫まで対象となるため、かなり広い範囲の親戚が扶養控除の対象となります。

両親と同居している家庭では、扶養控除の適用をしっかりと受けたいところですね。

なお、繰り返しとなりますが、扶養控除は16歳以上の方が対象となります。

以前は、16歳未満の子供に関して年少扶養制度があり、所得控除の対象でしたが、2011年の子供手当導入をきっかけに廃止されました。

対象となる所得の範囲

扶養控除の適用を受けるためには、いくつかの要件をクリアする必要があります。

例えば以下の要件があります。

・1月〜12月までの所得が38万円以下
・親と子が生計を一つにしている

上の表の通り、年間の所得が38万円を超えてしまうと、扶養控除の対象から外れてしまいます。

しかし、会社の給料やアルバイトの収入がある人は「65万円」の給与所得控除が受けられますので、103万円(65万円+38万円)までの給与収入であれば扶養控除の対象となります。

なお、年金からの収入のみで生活している高齢の両親がいる場合には、年齢によって上限額が異なります。

年金暮らしの人は、65歳未満の場合は65万円、65歳以上の場合には120万円が公的年金等控除として利用できます。

つまり、65歳未満の人は108万円(108万円-65万円=38万円)、65歳以上の人は158万円(158-120万円=38万円)が扶養控除を受ける上限となります。

税法上の扶養控除を受けるポイント
  • アルバイトやパートの人は収入が103万円を超えないようにする
  • 年金暮らしの人は、65歳未満なら108万円以内、65歳以上の人は158万円以内にする
  • 16歳以上の同居している親族が対象となる

社会保険(健康保険)上の扶養とは?

おそらく社会保険上の扶養については聞き慣れない人が多いと思います。

社会保険上の扶養とは、本人が「健康保険」に加入していなくても、健康保険の適用を受けることができる制度を言います。

例えば専業主婦のケースを言うと、夫の社会保険上の扶養に入ってさえいれば、妻は健康保険料を支払わなくても健康保険の適用を受けることができるのです。

なお、社会保険上の扶養に入る条件として、納税者が会社勤めをしており、「健康保険」に加入していることがあります。

また、自営業の人が加入する「国民健康保険」は、対象外です。

※厚生年金にも扶養控除がありますが、この記事では割愛します。

【社会保険上のメリット】健康保険にタダ乗りできる

夫が会社で働き、妻が専業主婦の家庭を例に挙げると、妻が社会保険上の扶養の対象になると、妻は保険料を支払うことなく夫の健康保険にタダで加入することができます。

つまり、健康保険料を支払っていない妻が病気で入院しても、妻は健康保険の適用を受けることができるのです。

また、厚生年金ついても、扶養控除の条件を満たすと、健康保険と同じようにタダ乗りすることができます。

対象となる家族の範囲

社会保険上の扶養は、税法上の扶養よりも適用範囲が狭くなっていますので、注意が必要です。

社会保険上の扶養の対象者は、配偶者と3親等以内の親族です。

つまり、叔父や叔母も扶養の対象となるということですね。

また、社会保険上の扶養を受けるためには、年齢が75歳未満である必要があります。

というのも、75歳以上になると後期高齢者医療制度の対象となるため、自身で健康保険に加入する必要があるからです。

また、税法上の扶養のように何歳以上という規定はありませんので、社会保険上の扶養は0歳から対象となります。

参考画像:ワールド健康保険組合

対象となる収入の範囲

社会保険上の扶養の対象となるためには、扶養者の収入が「年間130万円未満」でなる必要があります。

注意しなければならないのが、社会保険上の扶養控除は「収入」で判断される点です。

税法上の扶養では所得に参入されなかった失業保険や健康保険による傷病手当金・出産手当金等が、社会保険上は収入として入ってきますので、注意が必要です。

なお、扶養に入る前月まで多額の収入があっても、失業等で収入が見込めなくなった場合には、扶養の対象になれます(税法上の扶養は1月〜12月までの所得で判定)。

社会保険上の扶養控除を受けるポイント
  • 収入が130万円を超えないようにする
  • 0歳以上の同居している親族が対象となる

※それぞれの家庭によって条件は変わりますのでご注意ください。

税法上の扶養に入るメリット・デメリット

当然、メリットがあるから扶養に入るわけですが、仮に103万円の壁を突破するとどのようなデメリットがあるのでしょうか?

ここからは、税法上の扶養のメリット・デメリットを解説していきます。

【メリット】税金が安くなる

税法上の扶養控除のメリットは、所得税、住民税が減額されることです。

例えば、16歳〜19歳未満の子供を二人扶養している場合、38万円×2=76万円の所得税控除が適用できます。所得税率が20%だとすると、所得税15.2万円(76万円×20%)が減額される計算です。

税法上の扶養のメリットは、とにかく節税できることですね。

【デメリット】特にない!

実を言うと、税法上の扶養には特にデメリットがありません。

条件を満たせば扶養控除が受けられ、条件を満たさなければ扶養控除が受けられなくなる、ただそれだけです。

ですので、扶養の対象になりそうな人がいたら、扶養に入れた方が節税できるのでいいでしょう。

なお、子供がアルバイトを始めてうっかり収入が103万円を超えてしまう話はよく聞きますよね。。

子供は扶養控除のことなんて知りませんから、両親がしっかりと管理する必要があります。

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社会保険上の扶養のメリット・デメリット

【メリット】健康保険にタダ乗りできる

社会保険上の扶養に入ると、扶養に入った家族の健康保険料の負担がなくなるメリットがあります。

つまり、扶養対象となる家族が何人いようが、健康保険料を負担することなく健康保険の適用を受けることができるんですね。

例えば、独身の人と、配偶者と子供2人の合計3人を扶養に入れている人の健康保険料は、給料が同額であれば全く同じになります。

【デメリット】高額療養費制度の負担額が増えるかも

社会保険上の扶養のデメリットは、高額療養費制度の負担額が増える可能性があることです。

高額療養費制度とは、医療費が高額となる場合に、「自己負担限度額」を超える金額が払い戻される制度です。
自己負担限度額は収入によって決定されるため、収入が多いとそれだけ「自己負担限度額」も高く設定されます。

高額療養費制度の自己負担限度額は被保険者である納税者の収入を基に算出されるため、高齢の両親等を扶養に入れると、年金収入が中心で本来収入が低いはずの親の収入から自己負担限度額を決めるよりも、自己負担額が増える可能性が高くなります。

扶養に入る具体的な手続き

ここからは、扶養を申請する場合の手続きについて解説します。

税法上の扶養も社会保険上の扶養も、手続きはほぼ同じになります。

会社員・公務員の場合

会社員や公務員の方は、勤務先に扶養の申請をすることで、税法上の手続きや社会保険上の手続きは完了します。

こちらは入社のタイミングや年末調整のタイミングで話があると思いますので、その際に確認するといいでしょう。

勤務先や誰を扶養にするかなどによって必要書類が変わりますので、どのような書類が必要か、勤務先の総務部に確認するといいでしょう。

自営業の場合

自営業の方は、確定申告の際該当箇所に扶養者がいることを記載することで、扶養控除が受けられます。

なお、自営業の方は家族を社会保険上の扶養に入れることができませんので、社会保険上の手続きは不要です。

まとめ

扶養者が増えることは、基本的にはメリットの方が大きいといっていいでしょう。

ただし、高額療養費制度の自己負担限度額が増えるという社会保険上のデメリットや、収入が増えることにより税法上の扶養から外れてしまうことには注意が必要です。

扶養の制度を正しく理解することで、税法上のメリットも社会保険上のメリットも最大限享受しましょう!

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