株の空売りで失敗する人の特徴とは?ナンピン買いは危険!空売りの仕組みを解説
あなたは「空売り」と聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか?
「空売りで失敗して大きな損失を出した」なんて話をよく聞きますので、空売りに対してギャンブル的で怖いイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
空売りはプロの投資家がよく使う手法ですが、投資の初心者にはなかなか理解しづらい仕組みとなっています。
しかし、空売りで失敗するパターンをしっかりと理解すれば、空売りはむしろあなたの投資の選択肢を広げる有効な手段となります。
空売りができるようになると、相場が下落している局面でも利益を出せるようになるため、相場の上げ下げに関係なく安定してリターンを上げられるようになります。
この記事では、空売りにまつわるあなたのこんな悩みにお答えします。
・空売りで失敗する人の特徴は?
・空売りってそもそもどんな仕組み?
・空売りの正しい方法は?
(2022年4月9日更新)
空売りで失敗する人の特徴
空売りで失敗して大きな損失を出してしまう人も少なくありません。
どのような人が空売りの罠にはまり、大きな損失を出してしまうのでしょうか?
失敗する主なパターンは、以下の4つです。
・そもそも空売りを理解していない
・レバレッジをかけすぎる
・ナンピン買いをしてしまう
・株式投資の理解不足
空売りの仕組みを理解していない
空売りは、相場が下落している局面でも利益が出せる有効な手段です。
しかし、空売りの仕組みをよく理解せずに投資をしても利益を出すことは難しいですし、むしろ損失を出すことの方が多くなります。
特に注意が必要なのが、空売りの損失は無限に拡大する恐れがあることです。
現物の株を100万円分買ったとして、その企業が倒産して株価が0円になっても、損失は100万円に限定されます。
しかし、株価の上昇には理論上、上限がないため、100万円分空売りした株が1億円になった場合には、1億円を払って買い戻す必要があります。
つまり、上昇局面における値上がり益を狙う分には損失は投資額に限定されますが、空売りでは損失が投資額以上になる恐れがあるのです。
また、初心者に誤解されがちなのが、株がいつでも取引できると思われていることです。
何らかの事情で株が急騰した場合、売りが一切出せずに買いのみが集中して、売買が成立しないことがあります(ストップ高)。
この場合、損切りしようとしても取引が成立しないため、損失がどんどん膨らんでいきます。
レバレッジをかけすぎる
空売りをはじめとした信用取引は、レバレッジをかけることで大きなリターンを狙うことができます。
しかし、レバレッジにより損失も拡大しますので、レバレッジのかけすぎには注意が必要です。
レバレッジをかけすぎると、追証が払えずに強制売買されてしまう恐れがありますので、自分の予想が外れることも想定に入れながらレバレッジの倍率を決定しましょう。
全力で空売りをするときには、これから相場が下がる確固たる証拠があり、かつ十分な高値で売りを入れられることが大前提です。
ナンピン買いをしてしまう
「ナンピン」とは、現物の株の買い取引であれば、株価が下がった場合に再度購入して平均購入単価を下げる手法です。
現物買いであれば、下落局面で株を買い増すことは非常に有効な手段ですが、空売りの場合のナンピンは危険です。
株価の本格的な上昇が始まった場面でナンピン買いをしてしまうと、損失が雪ダルマ式に増えてしまうのです。
一方で、ナンピン売りを使いこなせるようになれば、株式投資で損する可能性がかなり低くなることも事実です。
空売りをする前に、「最悪の場合、何円まで売り上がるか?」ということをあらかじめ決めておき、株価が値上がりしてもどんどん売り上がるようにすれば、平均買値が上がり、株価が下落した時に利益を上げやすくなります。
要するに「ポジション管理」が大事だということです。
株についのて勉強不足
空売りで失敗する最大の要因は、株式投資についての勉強不足です。
・あなたは株式投資を始めるまでに、最低限半年は勉強しましたか?
・あなたは「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」の違いが分かりますか?
・勝率が90%以上になるまでデモトレードで訓練を積みましたか?
もしも上記の一つでも当てはまることがあったら、あなたはまだ株式投資を始めるべきではありません。
簡単にお金を稼ぐ方法なんてありません。
ある一定以上の努力をした人だけが、株式投資で勝つことができるのです。
改めて確認!株の空売りとは?
空売りを始めるなら、空売りに対する最低限の理解が必要です。
信用取引の一種
空売りは信用取引の一種ですので、空売りを理解するためには、信用取引の仕組みを理解する必要があります。
信用取引とは、証券会社に保証金または株式などを担保として預け、証券会社から資金や株式を借りて株を売買する手法です。証券会社が顧客を「信用」してお金や株を貸すわけですね。
信用取引には「信用買い」と「空売り」があります。
信用買い
「信用買い」とは、証券会社からお金を借りてきて株を購入することをいいます。
例えば100万円の保証金を預け入れ、証券会社から300万円分の株を購入することが信用買いになります。
信用買いを行うことで、少額の資金でもハイリターンを狙うことができます。
ただし、損失が出るとその損失が拡大しますので、ハイリスクでもあります。
このように、証券会社にお金を預けて、自己資金以上の取引を行うことを「レバレッジ」といいます。
レバレッジは「てこ」を意味し、自分の力(出した資金)以上の効果を発揮するため、そう呼ばれています。
レバレッジとともに信用取引を理解するのに欠かせない言葉が「追証」です。
追証とは、信用取引で損失が膨らんだ際に、保証金などの担保が足りなくなった場合、不足した保証金を追加で預け入れることをいいます。
追証が払えなかった場合は、強制的に売買が行われ、損失が確定します。
追証が払えず強制的に反対売買された場合、通常よりも高額の手数料がかかる場合もありますので、注意が必要です。
空売り
この記事のテーマである空売りは、証券会社から株を借りてきて、それを一旦売却し、株価が下落したタイミングで買い戻して利益を得る投資手法です。
「自分が持っていない株を売る」という仕組みが投資初心者にとって理解しづらい部分ですが、証券会社から株を借りて売却し、約束した時期までに返すと考えると理解しやすいでしょう。
例えば、6カ月後に返却する条件で、証券会社からA株を借りてきたとしましょう。
そのA株が1万円で売却できたとすると、6カ月以内に1万円より安い価格でA株を買い戻して証券会社に返却すれば、利益を得られることが分かります。
仮に6カ月以内に6,000円で買い戻すことができれば、4,000円の利益が得られます。
反対にA株が上昇を続けてしまい、14,000円でしか買い戻すことができなくなると、4,000円の損失が発生します。
株を証券会社から借りることによって現物取引にはない「売りから入る」ことが可能となります。
現物取引では「売り」から入ることはできませんので、相場の下げ局面でも利益を出すことができることは「空売り」の魅力の一つといえるでしょう。
また、「空売り」も信用買いと同じく「レバレッジ」をかけられますので、100万円の委託保証金で300万円分の株を空売りするなど、投資効果を大きくすることができます。
空売りの手数料
なお、信用取引には現物取引と同じく売買手数料がかかります。
また、信用買いの場合は「信用取引金利」、空売りの場合は株のレンタル料金にあたる「信用取引貸株料」等がかかります。
手数料 | 説明 |
取引手数料 | 取引をする際に必ずかかる |
貸株料 | 空売り時に株を借り際にかかる |
逆日歩(ぎゃくひぶ) | 空売り時に追加でかかることがある貸株料 |
金利 | 信用買い時、お金を借りる際にかかる |
手数料は投資の成果に大きな影響をもたらしますので、要注意です。
証券会社によって手数料が異なりますので、売買の頻度などにより自分にあった証券会社を選択することが重要です。
まとめ
空売りは、相場下落局面でもリターンが出せる有効な投資手段の一つです。
しかし、いざ損失が発生すると上限が無く、現物株よりも仕組みが複雑なため注意が必要です。
まずは身の丈のあった少額から空売りを始めてみるのががよいでしょう。