ストックオプションとは?簡単にわかりやすく意味を現役投資家が解説!
「ストックオプション」と聞くと、何だか難しい印象がありますよね。
新聞やニュースでストックオプションを目にすることは多いと思いますが、その言葉の意味を理解している人はあまりいないのではないでしょうか?
ストックオプションの意味を調べてみても、いまいちピンとこない人が多いと思います。
そこでこの記事では、「ストックオプションとは?」というあなたの疑問を解決すべく、ストックオプションをできるだけ簡単に、そしてわかりやすく解説します。
(最終更新日:2022年4月12日)
ストックオプションとは?
まずはじめに、ストックオプションの意味を例をあげて解説します!
ストックオプションのわかりやすい例
ストックオプションを理解するために、ある会社に勤めているAさんを例に考えてみましょう。
Aさんの会社の株価は、現在10,000円です。
非常に優秀な社員だったAさんは、あるとき会社からストックオプションの権利を受け取りました。
そのストックオプションの内容は、以下のようなものでした。
1年経過したら、勤務先の株を1株10,000円で100株購入できる
そして、Aさんは一生懸命会社のために働き、会社の業績はどんどん良くなり、1年後には株価が3倍の30,000円になっていました。
そこでAさんは、ストックオプションを行使して、1株10,000円で100株、100万円分の株を購入しました。
その後、その株を1株30,000円で全て売却して、差額の200万円(300万円-200万円)を利益として得ました。
ストックオプションによって、Aさんは市場価格よりも安く株を購入し、それを市場価格で売却することで利益を得ることができました。
以上が、ストックオプションの大きな考え方です。
あらかじめ決められた価格で株を買える権利
さて、改めてになりますが、ストックオプションとは、あらかじめ決められた価格で株を購入できる権利のことをいいます。
ストックオプションの株価よりも今の株価が高ければ、ストックオプションを行使することで利益が得られますし、株価が低かったら、ストックオプションを行使しないこともできます。
このように、ストックオプションの保有者には基本的にデメリットがありません。
まさに夢のような権利といえます。
モチベーションアップを目的に付与される
ストックオプションは、社員や役員のモチベーションアップを目的に付与されます。
つまり、このような仕組みです。
ストックオプションが付与される
→株価を上げようと一生懸命働く
→業績が良くなる
→株価が上がって儲かる
会社の業績が良くなると株価が上昇するため、ストックオプションを経営者や社員に付与することで、会社全体の士気や忠誠心を高めることにつながります。
なお、ストックオプションを導入している企業は、ベンチャー企業や将来の株式公開を目指している企業が中心です。
ベンチャー企業の場合、開業してから間がないと十分に報酬が支払えないため、代わりにストックオプションを与えて、優秀な人材を囲い込もうとします。
以上のように、ストックオプションは企業にとっても従業員にとってもメリットのある制度なのです。
・社員はストックオプションを行使することで利益を得られる
・会社は社員の士気向上と優秀な人材の囲い込みができる
ストックオプションのメリットとは?
ここからは、ストックオプションのメリットを以下の3者にスポットを当てて解説します。
・会社
・従業員
・株主
会社にとってのメリット
企業にとってのストックオプションは、主に3つのメリットがあります。
①目標に向けて一体となれる
会社にとってのストックオプションは、従業員の心を一つにまとめ、モチベーション高く仕事をしてもらうことにつながります。
②透明性の高い賃金体系を実現できる
ストックオプションは、株価という目に見える指標を用いた報酬のため、客観的に評価が分かりやすく、不透明な年功序列系の給与体系を見直し、成功報酬型の給与体系へと変える動きが期待できます。
③優秀な人材を集められる
ストックオプションを付与することで、優秀な人材を集め、囲い込むことができます。
従業員にとってのメリット
従業員にとって、ストックオプションは自分の頑張りが業績に反映され、それが対価として返ってくるため、仕事に対するモチベーションアップにつながります。
それに、自分の会社の株価を見るようになるため、経営意識が芽生えます。
株主にとってのメリット
株主はできるだけ会社の経営を監視し、株価を上げたいと考えています。
ストックオプションが導入されると、経営者や従業員は株価を上げるために一生懸命に仕事に取り組むと考えられます。
その結果、株価が上昇することにつながります。
つまり、ストックオプションによって、株主、経営者、従業員の利害が一致し、会社をより良く発展させることが期待できるのです。
ストックオプションのデメリットとは?
ストックオプションは、何もメリットばかりではありません。
デメリットがあることもしっかりと認識しましょう。
会社にとってのデメリット
いくら会社の業績がうまくいっても、株価にそれが反映されないことがあります。
この場合、従業員の間に不信感が走り、逆に社員の士気が下がってしまいかねません。
また、ストックオプション付与の条件についてしっかりと詰めておかないと、社員間での不公平感・揉め事につながりかねません。
従業員にとってのデメリット
頑張って会社のために働いても、業績が良くならないことがあります。
この場合、従業員の士気が逆に下がってしまう恐れがあります。
株主にとってのデメリット
株主にとって、ストックオプションはメリットばかりではありません。
というのも、ストックオプションによって、株の希薄化が起きるからです。
希薄化というのは、新たに株式が発行されることで、一株あたりの価値が下がってしまうことをいいます。
希薄化が起きると、既存の株主の利益が損なわれますので、株主にとっては一大事です。
そのため、ストックオプションを導入するときには、株主総会において同意が必要となります。
ストックオプションの種類も押さえておこう!
最後に、ストックオプションの種類も押さえておきましょう。
有償タイプと無償タイプ
ストックオプションは、有償で与えられるタイプと無償で与えられるタイプの2種類があります。
有償か無償かを決めるのは会社ですが、それぞれにメリットとデメリットがありますので、しっかりと違いを理解しましょう。
無償タイプ
無償タイプのストックオプションを付与された社員は、タダでストックオプションを手に入れたわけですから、こんなに嬉しいことはありません。
しかし、無償タイプの場合、税制の要件を満たしていないと、ストックオプションを行使して株を購入した時点で、株式の時価と権利行使価格の差額に税金が課されます。
この課税は給与所得扱いとなりますので、通常の株式のように一律20%の課税ではなく、累進課税として重い税金が課されます。
また、無償でストックオプションを付与すると、株主の利益を損なうことにつながりますので、株主総会での同意が必要となります。
有償の場合
有償のストックオプションの場合、ストックオプションを付与される社員には持ち出しがありますが、相応のメリットがあります。
有償タイプの場合、税制の要件を満たしていると、ストックオプションの付与時や権利行使時のいずれも税金が課されません。
なお、ストックオプションを無償で付与する際には株主総会での同意が必要ですが、有償の場合には取締役会の決議だけで進められます。
株式報酬型と通常タイプがある
ストックオプションには、株式報酬型と通常タイプがあります。
株式報酬型
株式報酬型のストックオプションは、権利行使価格を1円などの極めて低額に設定したものをいいます。
権利行使をすることで確実に利益を得られるとともに、値上がり分も利益として上乗せすることができます。
通常タイプ
権利行使価格を現時点の株価よりも高めに設定したタイプのものです。
ストックオプションをすぐに使っても利益は出ませんが、株価が上昇してくると、行使できるようになります。
長い目で考えたいストックオプションですね。
ストックオプションのまとめ
ここまで、ストックオプションについて解説してきました。
ストックオプションのある会社に勤めている人はあまり多くないと思いますが、もしもあなたの会社でストックオプションが導入されたら、モチベーションはぐっと上がりますよね。