個人向け社債は利回りが高い?おすすめの社債と注意点とリスクを解説
銀行預金や個人向け国債などの“安全資産”の金利は、現在低迷しています。
将来に備えてお金を増やそうと思っても、銀行預金や国債にお金を委ねていては資産の増加は期待できません。
そんな中、比較的安全性が高く、金利も高い金融商品として「個人向け社債」が人気を集めています。
社債はもともと金利が高い商品ですが、購入金額が数千万円単位のため、個人投資家が投資するのは非常に難しい側面がありました。
ところが、購入単位が10万円、100万円という個人向け社債が登場したことによって、個人でもようやく社債に投資できるようになったのです。
商品名 | 金利 | |
---|---|---|
定期預金 ※1年もの金利 |
オリックス銀行 | 0.170% |
SBJ銀行 | 0.120% | |
じぶん銀行 | 0.050% | |
個人向け社債 ※金利は前回のもの |
ソフトバンク債 | 2.48% |
SBI債 | 0.60% | |
マネックス債 | 0.70% |
なお、個人向け社債はあまりにも人気が高いため、発売と同時に売り切れになることが頻発しています。
そこで、個人向け社債を手に入れるためのポイントについても見ていきましょう。
この記事では、個人向け社債の基本からはじまり、個人向け社債の種類や具体的な投資先まで解説していきますので、ぜひ参考にしてください!
- 個人向け社債の金利は0.2〜2.0%ぐらいと高い
- 個人向け社債は人気があるためなかなか購入できない
(最終更新日、上記表の更新日:2022年3月17日)
個人向け社債とは?社債の基本から理解しよう!
個人向け社債とは、一体どのような債券なのでしょうか?
まずは個人向け社債の基本から解説していきます。
YouTube動画
個人向け社債について、YouTubeの動画にて解説しています。
ぜひご覧になってください!
そもそも社債とは?
個人向け社債の説明に入る前に、まずは社債について説明します。
社債とは、企業が事業資金や設備投資のために発行する債券(※)です。
債券とは、国や地方公共団体、企業が資金を調達するために発行する有価証券です。
あらかじめ利率や満期日が設定されており、債券を購入した投資家は、定期的に利子を受け取り、満期を迎えると元本が返ってきます。
会社の「信用」を元に発行される社債は、国債や地方公共団体が発行する地方債とは異なり、リスクが高い分、利率が高い特徴があります。
なお、社債は金融機関や保険会社などの機関投資家向けに発行されるため、最低購入単価が1億円程度と高額です。
そのため、個人で社債に投資することは現実的ではありません。
ところが、今回ご紹介する「個人向け社債」の登場によって、個人でも社債に投資できるようになったのです。
参照:岡三証券
個人向け社債は“小口化”された社債
個人投資家でも投資できるように、最低購入単価を100万円程度に小口化した社債が個人向け社債です。
先ほども説明した通り、本来、社債は最低購入単価が1億円程度とかなり高額なため、個人投資家が投資するのは不可能でした。
ところが、個人向け社債の登場により、個人でも社債に投資できるようになったのです。
公募債と私募債に分けられる
個人向け社債は、大きく分けて公募債と私募債に分けられます。
それぞれ特徴が異なりますので、順番に解説していきます。
- 公募債:不特定多数の投資家に発行される債券
- 私募債:特定の人たちに向け発行される債券
公募債
公募債とは、文字通り不特定多数の投資家を対象に発行される債券のことをいいます。
公募債は不特定多数の投資家に引き受けてもらう必要があるため、上場企業などで知名度の高い企業しか発行することが難しいといわれています。
なお、個人向け社債の多くは公募債となります。
私募債
私募債とは、一般的には、特定の人たちに向けて発行される社債のことをいいます。
公募債が知名度の高い大企業しか発行できないことに比べて、私募債は購入人数が50人未満であることなどの条件を満たせば発行できるようになっています。
なお、個人投資家が私募債に出会うケースはほとんどありませんので、基本的には公募債に投資するイメージを持っておけばいいでしょう。
SBI債とマネックス債が人気
個人向け社債として人気なのが、SBI債とマネックス債です。
両者とも金利は個人向け国債よりも高く設定されていて、満期も長くて2年程度です。
また、買付手数料も設定されていないため、手数料を気にせず安心して投資が始められます。
人気のある個人向け社債は、発売するとすぐに完売してしまうことが多いため、事前に情報を入手しておき、発売と同時に買い付ける必要があります。
次の章からは、SBI債やマネックス債といった個別の個人向け社債を紹介していきます!
代表的な個人向け社債:SBI債、マネックス債、ソフトバンク債など
ここからは、個人向け社債の中でもとりわけ人気のある「SBI債」「マネックス債」「ソフトバンク債」を中心に、その特徴や違いを解説していきます。
以下に簡単に表にまとめました(いずれも直近発行のもの)。
名前 | 最低購入額 | 償還期間 | 年率 |
---|---|---|---|
ソフトバンク債 | 100万円 | 7年 | 2.48% |
SBI債 | 10万円 | 2年 | 0.60% |
マネックス債 | 1万円 | 5年 | 0.70% |
ソフトバンク債
かの有名なソフトバンクグループが発行する個人向け社債が、ソフトバンク債です。
ソフトバンク債ですが、直近で発行されたものを見ると、最低購入単位が100万円から100万円単位で、利率が年1.38%、満期が7年に設定されています。
発行総額 | 5,500億円 |
---|---|
各社債の金額 | 100万円 |
利率 | 年2.48% |
年限 | 7年 |
利払日 | 毎年2/4および8/4、初回:2022/8/4 |
利率は他の個人向け社債よりも群を抜いて高いですが、満期が7年と長いのがネックです。
ソフトバンク債に投資するなら、直近で使う予定のない余剰資金の範囲で行うと良いでしょう。
参照:SBI証券
SBI債
SBI債とは、SBIホールディングス株式会社が発行する個人向け社債です。
10万円以上、10万円単位で申し込みできるため、少額から投資できます。
直近の利率は0.60%となっています。
SBIグループといえば、SBI証券や住信SBIネット銀行などを傘下に持つ金融系の会社ですが、他にもベンチャー企業への出資を行うアセットマネジメント事業や、医薬品や化粧品などのバイオ関連事業も行っており、会社の安全性も申し分ないといえるでしょう。
発行総額 | 300億円 |
---|---|
各社債の金額 | 10万円以上、10万円単位 |
利率 | 年0.43% |
売出・償還価格 | 額面金額の100% |
年限 | 2年 |
利払日 | 毎年 4/14および10/14、初回 : 2020/10/14 (ショートファースト・クーポン179日) |
最低購入単価が安く満期も2年と比較的短期ですので、投資初心者でも取り組みやすい個人向け社債といえるでしょう。
参照:SBI証券
マネックス債
マネックス債は、マネックスファイナンス株式会社が発行する個人向け社債です。
最低購入単価は1万円から1万円単位で、利率は0.7%となっています。
なお、マネックス債にはマネックスグループ株式会社の保証がついてきますので、仮に発行元のマネックスファイナンスが倒産しても元本は保証されるようになっておりますので、安全性は高いといえます。
ちなみに、発行元のマネックスファイナンスは、マネックスグループの「銀行」の役割を果たしている会社で、金融機関からの借り入れや社債の発行により得た資金をマネックスグループ内で融通しています。
購入単価が安く、満期も半年と短いため、投資初心者におすすめです。
参照:マネックス証券
その他多数の社債
SBI債、マネックス債、ソフトバンク債以外にも、様々な個人向け社債が発行されています。
例えば、イオンモール株式会社が発行するハピネスモール債、三井住友フィナンシャルグループ債、東海東京フィナンシャル・ホールディングス債、四国電力債などがあります。
それぞれの個人向け社債によって利率や満期日などが異なるため、自分の目的に合った社債を購入することが大切です。
個人向け社債を購入するなら開設しよう!
個人向け社債を購入するなら、最低限以下の証券会社に口座を開設しておきましょう!
インターネット専業系が手数料が安くオススメですよ!
個人向け社債に投資する4つのポイント
金利が高いのが魅力な個人向け社債ですが、注意点も多くあります。
ここからは、個人向け社債に投資する際に知っておきたい注意点と、その対処方法を解説します。
- リスクの判断が難しい
- すぐに完売してしまう
- 購入後のチェックが必要
- 他にもっとリターンの高い投資がある
すぐに完売してしまうため買いづらい
好条件の個人向け社債は人気があるため、発行されるとすぐに完売してしまいます。
そのため、個人向け社債を購入するためには、個人向け社債の発行情報を早めにキャッチし、事前に申し込みを行うことが大切です。
個人向け社債を購入するためには、個人向け社債を取り扱う証券会社に口座を開設している必要があります。
しかし、最近はマイナンバーカードの提出が必要になったりしているため、証券会社の口座開設までに1週間程度かかることが多くなってきました。
個人向け社債を確実に購入するために、個人向け社債の発行情報を入手したら、証券会社に早急に口座を開設することが大切です。
なお、個人向け社債が買えなくても、債券市場ですでに流通している社債を購入してしまうのも一つの手です。
リスクの判断が難しい
せっかく個人向け社債を購入しても、肝心の投資先が倒産してしまったら元も子もありません。
社債に投資する時には、投資先の企業の経営状況をしっかりと確認する必要があります。
基本的には、投資先の業績や決算状況を確認することになりますが、個人で企業の業績を完全に把握するのは難しいのが現状です。
そこでおすすめなのが、投資先の「信用格付け」を確認する方法です。
信用格付けで有名な機関としては、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s)、格付投資情報センター(R&I)などがあります。
一般的には投資適格格付け以上のものに投資すればいいといわれていますので、それを参考に投資を検討してみてください。
ところで、債券のリスクを客観的に評価する指標として格付けは便利ではありますが、この格付けがあまり当てにならない部分もあります。
格付けが高くても、短期的に格付けが何度も見直され、倒産してしまうこともありますので、格付けはあくまで参考程度にとどめ、投資の最終判断は自分で行うようにしましょう。
購入後もチェックが必要
個人向け社債は、基本的には満期まで保有していれば元本が返ってくるため、一度購入したら放置していて問題ありません。
ただし、企業が途中で倒産すると債務不履行(デフォルト)になるため、定期的に会社の動向は確認しておくのが得策です。
もしも危ないと感じたら、債券市場で満期前でも売却してしまっていいでしょう。
他の投資と比べてリターンが小さい
個人向け社債のリターンは、高くても年利1%程度です。
例えば、株式投資なら短期間で資金を増やすことができますが、個人向け社債のようなリターンでは、「資産を増やす」という意味でかなりスローペースです。
もしも資産をもっと速いペースで増やしたいという人は、例えばソーシャルレンディングを始めたり、仮想通貨に投資したり、もっと別の投資を始めた方がいいでしょう。
個人向け社債の3つのリスク
個人向け社債はリターンが高くおすすめな商品ではありますが、やはりリスクにも注意する必要があります。
個人向け社債のリスクをあらかじめ理解しておくことで、投資に失敗するリスクを下げ、堅実に投資を進めることができます。
信用リスク
個人向け社債でまず気をつけなければならないのが、信用リスクです。
どんなに金利の高い社債を購入しても、発行した企業が倒産してしまっては元も子もありませんので、投資前にその企業の財務諸表や経営状況を確認しておくことが大切です。
また、信用リスクという意味では、信用情報機関の信用格付けを参考するにするのもいいでしょう。
信用格付けが低いということは、デフォルトするリスクが高いということですので、それだけ投資する時には注意を払う必要があります。
価格変動リスク
個人向け社債を満期まで保有するつもりなら問題ありませんが、途中で売却する時には、価格変動リスクに注意しましょう。
債券価格は、金利が上昇すると下がり、金利が下落すると上がる関係にあります。
世の中の金利の動向によって、債券価格は刻一刻変動するのです。
流動性リスク
流動性リスクとは、個人向け社債を売りたくても売れないリスクです。
債券の取引量が少ないと、自分が売ろうとしている債券の買い手がいつまで現れず、債券が売却できないことがあります。
また、仮に売却できたとしても、適正価格よりも大幅に安い価格でしか売却できない恐れもあります。
高いリターンを求めてマイナーな債券を購入してしまうと、あとあと苦労します。
基本的に個人向け社債はメジャーな企業が発行するため流動性リスクを気にする必要はないと思いますが、念のため頭の片隅に入れておきましょう。
個人向け国債のまとめ
この記事では個人向け社債について説明してきました。
個人向け社債はリターンが高くオススメですが、やはりデメリットもあるので注意が必要です。
個人向け社債を購入するならスピードが命ですので、発行情報には目を光らせておき、事前に購入準備をしておきましょう。