ファンドラップと投資信託の違いを比較してみた!ラップ口座の致命的な欠点とは?
最近、「ファンドラップ」や「ラップ口座」という言葉を耳にすることが増えてきました。
ファンドラップとは、銀行や証券会社に運用を全て丸投げできる口座のことを言います。
たしかに、投資家としてはお金さえ出せばあとは何もしなくてもお金が増えていくので、楽な制度と言えます。
ところが、ファンドラップには思わぬ「落とし穴」があることをご存知でしょうか?
今回は、ラップ口座と、ラップ口座とあわせて頻繁に登場するファンドラップ、さらにはファンドラップと投資信託の違いについて解説します。
ファンドラップの「裏の顔」をしっかりと理解し、堅実に資産運用を進めましょう。
(2022年2月21日更新)
ラップ口座とファンドラップとは?
そもそもラップ口座、そしてファンドラップとは何でしょうか?
まずはラップ口座とファンドラップの基本から解説します。
また、YouTubeでも同様の内容を解説していますので、ぜひご覧ください!
ラップ口座とは
ラップ口座は、個人投資家が証券会社と契約を結び、資産運用を丸ごと証券会社に一任するサービスです。
資金の管理や具体的な銘柄の売買、そして投資のアドバイスの全てを、証券会社が請け負ってくれます。
当然のことながら、運用を全て丸投げするわけですから、証券会社には手数料を支払うことになります。
しかしその代わりとして、投資家は資産運用の作業から解放されます。
なお、ラップ口座のラップには「包む」という意味があり、「資産運用を包括的に行う口座」という意味があります。
また、ラップ口座は、SMAとファンドラップの2つに分けられます。
・ファンドラップ
・SMA(Separately Managed Account)
ファンドラップ
ファンドラップは、ここ最近登場した新しい形態のラップ口座です。
ファンドラップの特徴として、運用そのものは証券会社に一任しますが、取り扱う商品が基本的には投資信託に限定されていることが挙げられます。
運用内容の異なる投資信託を複数組み合わせることで、運用を行います。
最低投資額については、300万円ほどからとなっています。
最低投資額が数千万円単位の後述するSMAと比較すると、その金額の少なさが際立ちます。
以降、ラップ口座をファンドラップと読み替えて解説していきます。
SMA(Separately Managed Account)
SMAとは「Separately Managed Account(セパレートリー・マネジメント・アカウント)」の略で、高額な資金の運用を一任するための口座です。
SMAでは株や債券、投資信託に至るまで、様々な商品に直接投資することができます。
しかし、最低投資金額は数千万円〜となっており、まさに「富裕層」を対象にした商品ということが分かります。
ファンドラップ(ファンドラップ)の始め方
ファンドラップを始めるにあたっては、証券会社の担当者と面談し、資産状況や要望をもとに運用方針を決めます。
例えば、リスクを取りたくない人向けには国内債券ファンド中心の運用を行い、積極的にリスクを取りたい方には外国株式中心に運用を行います。
一度運用を開始してからは、定期的に運用報告を受け、必要があれば、ポートフォリオの見直しが行われます。
このように、投資に関わる実務を全てを丸投げできることが、ファンドラップの大きな特徴です。
投資のプロに運用を任せたい人向け
ファンドラップが向いている人は、投資を始めたいと考えてはいても、何に投資すればいいか分からない人です。
そんな人には、投資のプロに運用を全て任せられ、さらに定期的に運用の見直しが行われるファンドラップがおすすめです。
投資の検討やポートフォリオの見直しまで全て投資のプロが行いますので、投資初心者でも簡単に投資を始めることができます。
画像の参照:みずほ証券
ファンドラップと投資信託との違い
ファンドラップと投資信託は、似て非なるものです。
ファンドラップはあくまで「口座」にすぎず、ファンドラップを通じて投資信託に投資するにすぎません。
それに対して、投資信託は金融商品そのものになります。
ファンドラップはあくまで投資サービスで、投資信託は投資商品という違いがあります。
ファンドラップはデメリットの方が大きい4つの理由
ファンドラップは、実はほとんどの人にお勧めできない投資です。
ファンドラップには大きく4つのデメリットがありますので、順番に見ていきましょう。
- 年間の手数料が高い
- 投資先が限定されている
- 自分で投資した方がいい
- 投資の経験を積めない
年間手数料が高い
ファンドラップで特に気をつけたいのが「手数料」の高さです。
ファンドラップでは、資産残高の2%ほどの手数料が毎年かかります。
この手数料を高いと考えるか低いと考えるかは人それぞれですが、少なくとも手数料の分だけ、年間の利回りがマイナスになります。
また、投資信託に投資するということは、投資信託それぞれの信託報酬も追加でかかります。
つまり、ファンドラップを利用して投資信託に投資すると、年間手数料と信託報酬が二重にかかるのです。
投資先が限定されている
ファンドラップの運用先は、多くても40本程度に限定されます。
また、その投資信託の多くが証券会社のグループ会社のものです。
何が言いたいか、もうお分かりですよね?
ファンドラップを通じて運用される投資信託は、必ずしも成績優秀なものではなく、売れ残りや成績不振の投資信託の可能性が高いということです。
自分で投資した方がいい
「どうしても自分で資産運用をしたくない」という人は、ファンドラップに投資してもいいでしょう。
しかし、ただメンドくさいから、手間だからという理由でファンドラップを検討している人は、自分で投資することを考えてください。
そもそも「ファンドラップ」といっても、所詮やっていることは投資信託に分散投資しているだけ。
「投資信託に投資する」というたったそれだけのことで、手数料が年間2%も取られるのは高すぎます。
例えば自分でバランス型ファンドに投資した方が、圧倒的に割安な手数料で投資を行うことができます。
バランス型ファンドの信託報酬は1%を切るものがほとんどですし、ファンドラップのように年間の手数料2%がかかりませんので、年間で2%以上も手数料に差が出ることが分かります。
この2%という差を投資の収益で埋めるのは、かなり大変なことです。
自分が汗水垂らして稼いだお金ですから、他人に決定権を委ねるのではなく、自分の力で運用を行った方がいいでしょう。
投資の経験を積めない
ファンドラップはたしかに手間がかからず楽先ですが、あなたの投資の経験にならないデメリットがあります。
他人に運用を全て任せてしまうと、いつまで経ってもお金の知識(ファイナンシャル・リテラシー)が身につきません。
自分で考え試行錯誤を重ねて運用することで、初めてお金の知識が身につくのです。
これからの時代は、今まで以上にお金を正しく運用する力が問われます。
将来豊かな生活を送るためにも、ファンドラップで他人に投資の決定権を委ねるのではなく、自分の意思で投資を行うことが大切です。
ファンドラップと投資信託の違いのまとめ
今回はファンドラップについて解説してきました。
ファンドラップは一見、手間いらずで効率的に思えますが、実際には手数料だけ高く取られる商品だということがお分かりいただけたと思います。
証券会社のカモにされないためにも、ファンドラップには要注意です。
そもそも自分自身で投資信託の良し悪しを判断できない時点で、投資は控えた方がいいでしょう。